検証 基地をめぐる「誤解」:専用施設が74%


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 在日米軍基地に占める在沖米軍基地の面積の割合について、インターネット上では「74%が沖縄に集中しているとの説明はデマだ。実際には23%に過ぎない」などといった情報を目にすることがある。米軍のみが使用する専用施設で比較すると、沖縄には全国の74%が集中している。一方、県外には自衛隊の駐屯地を米軍が共同で使用している施設があり、それを含めると、沖縄の米軍基地は全国の23%ということになる。

 前出のネット上の書き込みには、沖縄に米軍基地が集中しているわけではない、との主張が含まれているとみられるが、沖縄の米軍専用とは使用頻度など実態の異なる自衛隊施設を総計に加えて沖縄の現況を過小に評価したもので、実態を表した統計とは言い難い。 施設の運用実態や米軍の兵員数などを比較すると沖縄の基地負担が全国で最も過重であることは明らかだ。
 例えば、自衛隊東千歳駐屯地(北海道)や仙台駐屯地(宮城県仙台市)、朝霞駐屯地(東京都)などは共同使用施設の位置付けだが、実態は自衛隊基地であり、騒音や事故に対しても基本的には国内法が適用されている。米軍専用施設が日米地位協定に基づき、米軍への配慮が尽くされた形で運用されているのとは比べようもない。
 嘉手納より南の米軍基地の返還・統合計画は、普天間飛行場をはじめ、ほとんど県内への移設が前提となっており、移転の前後で米軍専用施設の割合は現在の74%から73%となるにすぎない。これは翁長雄志知事もよく指摘している。
 在日米軍の駐留兵員数で比較すると沖縄の過重負担はより鮮明となる。
 2011年6月末の統計では、陸軍、海軍、空軍、海兵隊を合わせた在日米軍兵力の総数は3万6712人で、うち在沖米軍の兵力は70・4%に相当する2万5843人。特に海兵隊は日本に駐留する1万7585人のうち沖縄駐留は1万5365人を占め、割合は87・4%に達する。
 米軍は11年6月末を最後に在沖米軍の人数を公表しておらず、沖縄への過重負担を前面に出したくない意図もありそうだ。