「大ヒット盤」『松本隆　作詞活動四十五周年トリビュート』

（オムニバス）『松本隆　作詞活動四十五周年トリビュート　風街であひませう』

　朗読ＣＤもついて詞の世界を堪能

　松本隆の詞の世界を存分に堪能しようという企画。ここでは解説・対談を収録した書籍や朗読ＣＤがついた限定盤の方を紹介する。

　Ｄｉｓｃ１は、全１０組の個性的な歌い手によるカバーと、松本がドラムで参加した細野晴臣の未発表曲を収録。ＹＵＫＩが歌う斉藤“由貴”『卒業』でのコミカルな声ゆえの切なさや、手嶌葵の『風の谷のナウシカ』での勇敢な少女の孤独など、表情の裏側が見えて興味深い。
　Ｄｉｓｃ２では、１７人の俳優や歌手が、是枝裕和監督のもと松本隆の詞を読む。斉藤由貴や薬師丸ひろ子が、アイドル時代の自身の代表曲を今の声で読むなど、それだけでワクワクするが、特に女性陣の声のトーンに、各人が重ねた日々の歴史を感じさせる。また、１７編中５編も松田聖子の楽曲が選ばれており、あらためて聖子作品の詞のレベルに唸った。
　５年前に出たオトナモードの松本隆トリビュート盤も同じ雰囲気の好盤。本作から、時代に流されない本物の言葉を再認識できるはず。
　（ビクター・２ＣＤ＋書籍＋しおり限定盤・４５００円＋税、ＣＤのみ通常盤は３０００円＋税）＝つのはず誠
（共同通信）
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つのはず誠のプロフィル
　つのはず・まこと　１９６８年生まれ。総合化学会社、広告代理店勤務を経て、Ｔ２Ｕ音楽研究所を設立。音楽市場分析のほか、音楽配信サイトやオムニバスＣＤの選曲を手がける。