辺野古承認に「瑕疵」 第三者委報告固まる


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 米軍普天間飛行場の移設計画に伴う前知事の名護市辺野古の埋め立て承認を検証する県の第三者委員会(大城浩委員長)は10日までに、承認に瑕疵(かし)があったとする検証結果を取りまとめる作業に入った。複数の関係者によると、第三者委は既に関係する県職員への聞き取り調査を終え、報告書の作成に向けた詳細な文言調整をしており、報告の骨格は固まった。早ければ15日、遅くとも月内には翁長雄志知事に報告する。

知事は埋め立て承認をめぐる自身の判断について第三者委の報告を「最大限尊重する」と述べており、8月下旬以降に承認を取り消す公算が大きくなった。
 関係者によると、第三者委は、辺野古新基地への垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備が環境影響評価(アセスメント)の評価書提出段階になって初めて記載された点や、現在の普天間飛行場ではオスプレイの飛行運用に関する日米合意が守られていない点などから、米側の環境保全策の実効性に懸念があると問題視している。
 また新基地建設計画がサンゴやジュゴン、ウミガメといった生態系や、海流など自然環境に与える影響の評価やそれに対する保全策が適正でない、十分でないとの指摘が挙がっている。
 第三者委はこれらの状況を総合的に勘案し、前県知事による埋め立て承認は環境保全や災害防止への配慮を規定した公有水面埋め立て法4条1項に抵触するとみて、瑕疵があったと報告する見通し。
 第三者委の報告を受けて翁長知事が承認を取り消せば、国は新基地建設工事を進めることができない。一方、菅義偉官房長官は知事が承認を取り消した場合も工事を継続する考えを示している。そのため知事の取り消しの効力をめぐり、県と国が訴訟となる可能性もあり、県・国とも既に関連書類の作成を進めている。
 委員会は元沖縄弁護士会会長の大城委員長を含む弁護士3人と、桜井国俊元沖縄大学長ら環境専門家3人の計6人で構成。2月に正式発足の初会合後、約5カ月にわたり埋め立て承認過程を検証してきた。