ノグチゲラ 命の物語 渡久地さん写真絵本出版


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 【名護】名護市の渡久地豊さん(52)=イラストレーター=が、県鳥で国の特別天然記念物の「ノグチゲラ」の親子を描いた写真絵本を出版した。2011年の繁殖期に出合った親子が主人公。

台風で営巣木が倒木した後も、2羽のひなが無事に巣立つまでを写真で紹介している命の物語だ。渡久地さんは「貴重な生活シーンをちりばめている。地元の生き物を伝える次世代へのバトン渡しを意識した」と話している。
 本のタイトルは「ノグチゲラの親子」。「タッタララララ…、コッコロロロロ、ここは沖縄やんばるの森、どこからともなく木をたたく音が聞こえます」で子育ての写真絵本が幕を開ける。
 2011年5月、やんばるの森のイタジイの木で5個の卵のうち2個の卵から新たな命が誕生した。そのひなに雌親はコオロギの仲間やカミキリムシなどの幼虫を、雄親は主にセミの幼虫や地面に潜んでいるクモなどを巣に運ぶ様子を写真で捉えた。
 「親鳥でも雌と雄で役割分担して餌を与えている。森で生きていく知恵がある」と渡久地さん。広く知られていない生態に触れることで、ノグチゲラをより身近に感じてほしいという。「小学生への読み聞かせ用に、地元の鳥を紹介する本を探していた。この本がその役割を担ってくれればうれしい」としている。
 ノグチゲラは環境省レッドリストで、野生での絶滅の危険性が極めて高い絶滅危惧IA類に記載されている。渡久地さんは1999年から始まった環境省ノグチゲラ保護増殖事業の標識個体追跡調査に携わり、希少野生動植物種保存推進員や日本鳥類標識協会会員を務めている。
 「ノグチゲラの親子」は小学館の図鑑NEOシリーズの1冊で定価1300円(税別)。

ノグチゲラの命の物語を描いた写真絵本「ノグチゲラの親子」
渡久地 豊さん