渡辺謙の魅力と共に光るケリー・オハラの歌唱
今年のトニー賞でリバイバル作品賞を受賞したリチャード・ロジャース&オスカー・ハマースタイン2世によるミュージカル『王様と私』のオリジナル・キャスト盤です。王様役に抜擢された渡辺謙はトニー賞こそ逃したものの、かつての名優ユル・ブリンナーのイメージを払拭した演技で高い評価を得ました。
そんな渡辺謙の素晴らしい歌唱のほかさらにこの作品で注目されるのは主演女優賞に輝いたケリー・オハラの歌声です。1976年米オクラホマ生まれのケリーは正統派のブロードウェー女優。2005年『ライト・イン・ザ・ピアッツァ』でトニー賞に初ノミネート、以降全ての作品でノミネートされています。
06年『パジャマ・ゲーム』、08年には『王様~』と同じ演出家バートレット・シャーによる『南太平洋』に出演、その流れのなかで今回の渡辺との共演となりました。本国では自身のソロ・アルバムも発表している彼女ですが、その素晴らしい歌唱は今後日本でも注目されると思います。
(ユニバーサル・2800円+税)=北澤孝
(共同通信)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
北澤孝のプロフィル
きたざわ・たかし 1947年、東京生まれ。小学生のころからダイナ・ショアなど洋楽を好み、大学時代はニューオリンズ・ジャズ・クラブに所属し、トラッド・ジャズを研究。その後レコード会社、音楽出版会社に勤務。携わったアーティストは、ポール・モーリアからボン・ジョヴィ、ブリトニー・スピアーズ、MONKEY MAJIK、Superflyまで多岐にわたる。
ユニバーサル ミュージック (2015-06-24)
売り上げランキング: 68,425