真っさらな心で舞う 佐辺良和独演会


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「あら穂花」を踊る佐辺良和=5日、浦添市の国立劇場おきなわ

 琉球舞踊世舞会(せいぶかい)師範・佐辺(さなべ)良和の第2回ひとり舞(独演会)「まさら」が5日、浦添市の国立劇場おきなわで開かれた。日本伝統文化振興財団賞を受けるなど幅広く活躍する佐辺が、真っさら(まさら)な心で原点の舞踊に向き合った。容姿を生かした美しい女踊や柔軟な発想の創作を披露した。

 前半は女形の演目を並べた。幕開けの「かぎやで風」はウミナイビ姿で登場した。古典女踊「伊野波節」は抑制と感情があふれ出る瞬間のめりはりが利いている。「花風」、又吉世子(としこ)師匠の創作「夢にこと語てぃ」も踊った。
 女形に定評のある佐辺だが、後半の男踊も光った。新作「千鳥」は伊良波尹吉の創作舞踊「南洋浜千鳥」の曲に新たに振り付けた。2012年に韓国芸術総合学校で琉舞を教えた経験を生かし、韓国舞踊の所作も取り入れた。後ろ向きに舞台に出たり、両手を横に真っすぐ伸ばしたりと独創的な作品に仕上げた。
 最後も自身の創作「あら穂花(ふばな)」(比嘉康春作詞・作曲)。短い命だが懸命に咲く稲の花を題材にした。雑踊「鳩間節」に通じる軽快さを持ちながら、枠にはまらない振り付けが目を引く。強い足腰を生かし、片足で跳んだり、しゃがんで足を動かしたりと縦横無尽に舞台を駆けた。
 05年の第1回独演会から10年。人気と実力を身に付け、入場券も早々に完売した。美しい盛りの女形や体力を生かした創作は今だからできる芸でもある。10年後、20年後はどういう実演家に成長していくのか楽しみだ。地謡は比嘉、新垣俊道、仲村逸夫、宮里秀明、入嵩西諭、森田夏子、比嘉聰、宮里和希。
(伊佐尚記)