「住民交流の場に」 松川の拝所「殿之毛」公園化


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
拝所全域を改修し公園として生まれ変わった拝所「殿之毛」。広場には奉納角力場も移設された=22日、那覇市松川

 沖縄県那覇市松川の住民が集落の聖地として大切にしてきた拝所「殿之毛(トゥンヌモー)」がこのほど、「殿之毛公園」として整備された。1987年の整備事業から28年が経過し、拝所の風化や擁壁の崩壊が進むなど景観も悪化していたことから、化粧直しや繁茂したガジュマルの伐採など拝所全域を改修。

 住民が日常的に憩い、交流できる場所として新たに生まれ変わった。

 松川字誌によると、松川の始まりは琉球王府時代の1600年代初期で、7神を祭る殿之毛は1700年代中期に保安林としてリュウキュウマツが植えられ、聖地として整備。1600年代に始まったとされる旧暦6月26日の松川大綱引きは、神酒をささげ、住民総出で綱を作るなどの儀式が拝所内で行われてきた。

「上之井」の湧き水を活用できる手こぎポンプも設置した

 改修事業は地域所有の土地や財産管理、自治会事業への賛助を行う松川向上会(冨山嘉昌会長)を中心に実施。約2千万円の費用をかけ、2014年7月から約10カ月の工期で完工した。新たに催事用倉庫を設置したほか、拝所前には奉納角力場を移設した。

 さらに敷地内にマツとサクラを植樹、拝所の北西側にある「上之井」の湧き水を活用できる手こぎポンプも設置した。駐車場を開設し、防犯用夜間照明も設置するなど利便性・安全性も向上したことから、公園活用の幅が広がっている。

 公園入り口には拝所の由来を記した石板も建立され、19日には関係者らによる除幕式が行われた。

 冨山会長は「戦前からあったガジュマルを切ることに抵抗感はあったが、人が集まる場所にしたかった。これからは花見もできる。有効に活用していきたい」と感慨深げに語った。