「大ヒット盤」空想委員会『ＧＰＳ』

夏の勢いに身を委ね広がる作風
　サラリーマン風の格好でマナーの良いＬＩＶＥを行うことでも人気の男性３人組によるミニアルバム。タイトルは、“グローバル・ポジショニング・ソングス”の略で、リスナーの居場所を特定するという意味があるようだ。

　これまでの彼らは、片想いの女性を見つめ続けたり、その女性との幸せを諦めたりという、内省的な楽曲が多かったが、本作では夏の勢いに身を委ねたのか、驚くほど作風が広がっている。
　例えば、『劇的夏革命』では、真夏の太陽の下、僕もみんなも変わろうと爽やかに歌うし、『名前を呼んでくれ』では、少しずつ相手に気づいてほしいと願う。ボーカルの三浦隆一が、草野マサムネ風の乾いた声質でユーミン風に抑揚を付けずに歌うのが本心の照れ隠しのように聞こえる。このテンションがやけに現実的だ。
　初回盤にはＬＩＶＥのＣＤや、２曲のビデオを収録したＤＶＤも付属。本作を聞けば、言葉は人に伝わった時、遥かに世界が広がるということを実践したくなるはず。
　（キング・初回限定盤２ＣＤ＋ＤＶＤ２９６３円＋税、通常盤１８５２円＋税）＝つのはず誠
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つのはず誠のプロフィル
　つのはず・まこと　１９６８年生まれ。総合化学会社、広告代理店勤務を経て、Ｔ２Ｕ音楽研究所を設立。音楽市場分析のほか、音楽配信サイトやオムニバスＣＤの選曲を手がける。
(共同通信)