語り部休止状態 県被爆協、高齢化で継承困難に


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
県内の被爆者健康手帳所持者の推移

 県原爆被爆者協議会(県被爆協)が実施していた被爆者の語り部事業が事実上休止状態になっていることが分かった。かつては被爆者を県内の学校に派遣していたが、現在は語り部として活動できる被爆者が高齢化し、事業として継続することが難しくなっているという。

県内の被爆者数も減少が続いており、被爆体験の継承が困難になっている現状が浮き彫りになった。
 県被爆協によると、約10年前までは5人ほどの被爆者が語り部として活動し、6月23日の「慰霊の日」を控えた時期に、県内の小学校~大学からの複数の要請に応じて証言活動を行っていた。
 近年は高齢化により、要請を断るケースが出始めた。5人ほどいた語り部も、今では広島と長崎の被爆者それぞれ1人ずつが語り部活動をすることはあるものの体調次第で、事実上休止状態という。
 被爆70年を前に、体験継承は被爆地でも大きな課題になっている。
 県被爆協の役員は「被爆の実相を伝え続けていくことは重要で、県被爆協としても必要と考えている」とする一方、「現状では新たな事業を始めることは難しいのではないか」と語った。