マングース、本島北部で部分的根絶 クイナ生息数回復


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 【北部】県と環境省は11日、本島北部におけるマングース防除事業で、国頭村与那-辺野喜区間でマングースの根絶に至ったと発表した。2000年から始まった同事業で部分的根絶を確認したのは初めて。環境省によると、防除事業の奏功で、生息を脅かしてきた国の天然記念物ヤンバルクイナの生息数も回復しているという。

県と環境省は「大きな一歩」と評価しており、22年度までに大宜味村塩屋-福地ダム(SFライン)以北で完全排除を目指している。
 環境省と県はSFライン以北全域にわなを設置。米軍北部訓練場内は米軍が独自予算で設置した。ことし3月までの14年度は127匹を捕獲した。探索犬による捕獲と合わせて計155匹を駆除した。捕獲数は過去最多だった07年の619匹から約4分の1に減少、マングースの個体数は順調に減少しているという。
 与那-辺野喜間ではセンサーカメラなどの観測で生息情報は得られず、捕獲もなかったことなどから、根絶に至ったと判断した。
 今後は生息密度の低い国頭村辺戸、安田、楚洲の根絶を目指す。捕獲数が多い東村福地ダム周辺ではわなの設置数を増やす予定。一方、わなには駆除対象外の在来生物も捕獲されたため、対策を講じるという。
 1910年に本島南部に持ち込まれたマングースは90年には北部のSFラインを越え、ヤンバルクイナなどの希少生物の生息数と分布域を減少させてきた。環境省によると、防除事業が奏功し、千羽以下に落ち込んだヤンバルクイナは12年ごろから1500羽以上に回復している。
 やんばる野生生物保護センターの山本以智人自然保護官は「防除計画が目に見える成果を出した。今後も残る地域の根絶に取り組む」と語った。