豊作願い力戦 南風原町内4区 綱引き にぎわう


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 【南風原】旧暦の6月25日のカシチー、同26日のアミシに当たる9、10の両日、南風原町の津嘉山、兼城、照屋、喜屋武の各区で豊作や雨乞いを祈願する伝統の綱引きがあり、多くの参加者でにぎわった。区民らが東西に分かれ、熱い戦いを繰り広げた。

 約600年の伝統を受け継ぐ津嘉山の綱引きは10日午後6時半すぎ、津嘉山幼稚園グラウンドで開かれた。区民が鉦鼓(しょうこ)や太鼓を打ち鳴らし、歌や踊り、棒術などを披露した。
 青年らは首里王府から賜ったとされる「太平」「國泰」「民安」「豊歳」の四つの旗頭を高く掲げ、観客を盛り上げた。綱引きは激しい引き合いの末、西が勝利した。
 津嘉山青年会の大城佑介さん(24)は「カナダでも津嘉山エイサーや鉦鼓を披露した。私たちの誇りである伝統芸能をしっかりと受け継ぎたい」と話した。
 兼城区、照屋区では午後9時すぎに行事が始まった。兼城の綱引きは、兼城の守り神とされる蛇神「ジャー」の存在や爆竹や花火が飛び交うのが特徴だ。毎年製作される張り子の「ジャー」が口から火を噴きながら、行事を見守った。大綱引きの勝負は西が勝った。
 互いのシャツを破るほど激しい「けんか綱」で知られる喜屋武区の綱引き。毎年午後11時ごろに行われ、ことしも多くの見物客が通りを埋め尽くした。青年らが激しくぶつかり合いながら、東西の綱にカヌチ棒を入れると、区民や参加者が一体となって勝利を目指した。区民のみで勝負する9日は西が2勝、参加者も交えての10日は東に軍配が上がった。

全力で綱を引き合う津嘉山区民ら=10日午後6時半すぎ、南風原町津嘉山の津嘉山幼稚園グラウンド
力を合わせて綱を引く兼城区民ら=10日午後9時すぎ、南風原町兼城
汗だくになりながら激しく綱を引き合う喜屋武区民ら=10日午後11時すぎ、南風原町喜屋武