事故死ウミガメの卵ふ化へ 体内から摘出、保護


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人工ふ化を目指し、一定の温度と湿度を保つ機器に入れている約80個の卵=21日、本部町石川の沖縄美ら島財団

 【本部】16日夜に大宜味村喜如嘉の国道58号で車にひかれて死んだメスのアオウミガメの体内に残っていた卵を沖縄美ら島財団・総合研究センター(本部町)が引き取り、人工ふ化を目指して取り組んでいる。卵は80個あり、10月にもふ化できるよう保護している。

成体のウミガメの交通事故死は国内でも記録がなく、その体内から卵を取り出してふ化させるのは珍しい試み。
 死んだウミガメを沖縄美ら島財団の研究員らが17日に解剖し、卵(直径4・5センチ)を取り出した。卵は気温で性別が決まることから、保管機器内の温度をオスとメスが半々になる29度に設定し水分を定期的に吹きかける。順調にいけば、1カ月半から2カ月後にふ化が想定される。
 ウミガメは死んだ直後の状態での解剖となったため、解明が進んでいない卵巣や卵管など生殖腺が貴重な標本となるという。
 財団・総合研究センターの河津勲係長は「不幸にも車にひかれてしまったが、身を削って産卵しようとしていたことに報いたい。100%ふ化するかは分からないが、私たちのテクニックを最大限に駆使したい」と語った。(古堅一樹)