沖縄・相模原米軍事故 原因究明へ地位協定の壁


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 神奈川県相模原市中央区の米陸軍施設「相模総合補給廠(しょう)」で起きた爆発火災から1週間がたち、うるま市で訓練中の米軍ヘリコプターが墜落した事故から間もなく3週間が経過する。いずれの事故も、なぜ爆発が起きたのか、なぜヘリが墜落したのかといった事故原因が依然判明していない。

 沖縄のヘリ事故で、第11管区海上保安本部や県警は、米艦船上への墜落のため米軍敷地内への墜落になるとの認識を示し、いずれも日米地位協定を理由に「捜査権限がない」としている。国土交通省運輸安全委員会も米軍機による単独事故は調査の対象外と説明しており、原因究明は日本側では行えない状況だ。
 一方、相模原の爆発火災では、市消防局は日米地位協定のため本来は施設内の調査権を持たないが、米軍側の要請で発生から3日後に立ち入った。だが、米軍の指揮下で目視などで現状確認した程度にすぎない。
 沖縄県内では米軍基地内や米軍機関連の事故などで火災が発生した際、県内の消防本部が米軍と協力し消火活動などを行う協約や覚書が締結されている。琉球新報の調べで県内全18消防本部中、10の消防本部が締結していることが分かったが、日米地位協定の壁があり、実効性には疑問の声も上がる。相模原の爆発火災を受け、県は1日、県内の消防本部が米軍と締結した協約や覚書に基づく活動について、回数や内容など実態を把握する調査を始めた。(島袋良太、中里顕、東京新聞・寺岡秀樹)