社会

米軍関連火災で消防協約、県内10本部が締結

 米軍基地内や米軍関連の事故などで火災が発生した際、米軍と協力し、消火活動などを行うことを定めた協約や覚書を県内の全18消防本部中、10消防本部が締結している。実例もあるが、専門家からは「日米地位協定の壁があるため、自由な調査が保障されているか疑問」との指摘が上がる。

神奈川県の相模総合補給廠(しょう)の爆発火災では「消防相互援助協約」によって米軍側が要請し、地元消防が火災の調査のため基地内に入った。この協約と同様の協約などを締結している沖縄県内の消防本部からは「要請が前提なので、実際の運用になれば施設に入れない可能性がある」と実効性に懐疑的な見方も上がった。
 協約や覚書の締結は互いの管理区域内での火災などに対し、米軍側からの要請を前提として、現場で協力して活動することが柱だ。協約などを締結していない8消防本部は離島や管内に米軍施設を有していない地域の消防本部だが、担当者からは「ヘリコプターがどこで落ちるか分からない状況を考えれば締結の必要性はある」とする声もある。
 一方、県が2010年7月時点でまとめた調査結果によると、この時点で10消防本部が米軍と協約を締結していた。しかし、00年以降で締結に基づいた活動実績があったのは、浦添市とニライの2消防本部のみ。相模原市の爆発火災を受け県が1日に始めた実態調査では、過去5年間の活動回数や内容を調べ、米軍との連携状況を確認する。
 協約や覚書の実効性について、桜井国俊沖縄大名誉教授は「相模原の消防も協約で立ち入ることができたとしても、現場から証拠物などの提供が受けられるかは疑問がある」と指摘。「協約があったとしても日米地位協定の大きな壁がある。相模原の消防がどこまで実質的な調査ができているのか注意深く見る必要がある」とした。
 現場からも実効性に疑問の声が上がる。これまで2回出動要請を受け、消火活動に携わったという国頭地区行政事務組合消防本部の担当者は「米軍関連の出動はこちらが米軍の指揮下に入る形になる。初動対応だけでなく、火災調査にも携われるように覚書を改める必要はあると思う」とした。
 04年8月、沖縄国際大のヘリ墜落事故が発生した宜野湾市消防本部は11年1月19日、在沖米海兵隊キャンプ・バトラー消防本部と「消防相互援助協約」を結んだ。同本部は消火に携わったが、火災調査に立ち入れなかった。担当者は「調査権の明記など、協約の改定を求める予定はないが、相模原の事例もあるので研究した上で検討したい」とした。(中里顕、当間詩朗)



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