サボテン収穫増、ぜんそく新診断法 長嶺さん研究、特許も


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
独自の技術でサボテン「キメンカク」に毎年多くの実を付けさせている長嶺健次さん=12日、那覇市具志の自宅

 サボテンの実の収穫量増、新しいぜんそく診断方法の発明―。定年退職後、それまでの職種とは違う分野での研究に明け暮れ、特許まで取得した人がいる。那覇市具志に住む長嶺健次さん(76)だ。「何かを生み出すには、人とは違うことをするのが大事だ」と語り、独特の発想力で研究に取り組む充実した日々を送っている。

 長嶺さんは診療放射線技師を長年務め、退職後にアルゼンチン原産のサボテン「キメンカク(鬼面角)」の栽培を開始した。キメンカクは開花するものの結実させることが難しく、長嶺さんは水はけの環境や成長に適した肥料などを研究し、さらに受粉における独自の手法を編み出した。その結果、数多くの実を付けさせることに成功した。
 また、健康な人とぜんそく患者の「笑い声」に違いがあることに着想を得て、患者のサンプルデータを用いて初期段階のぜんそくを発見する診断装置・方法・プログラムを発明。2009年に特許を取得した。
 長嶺さんは「これまでも診断器具や方法はあったが、扱いは専門医に限られる。私の診断装置や方法は専門医でなくとも操作や診断が可能になる」と説明。ただ装置に関しては未開発で、協力を得て医療器具として発売された暁には、開発費用を除く収益を福祉機関に寄付するという。
 長嶺さんはほかにも、多種多様なサボテンを育て、自宅の庭先には約100種類のサボテンが所狭しと並ぶ。「あっさりしておいしい」(長嶺さん)というキメンカクの実は、ことしも30個以上収穫した。「受粉の技術でも特許申請を考えたが、栽培は趣味。子や孫に実をあげて、喜んで食べてもらうのが楽しい」とほほ笑んだ。