「ＤＶＤ＝１」でんぱ組.inc『WWD大冒険TOUR2015』

でんぱ組.inc『WWD大冒険TOUR2015～この世界はまだ知らないことばかり～ in TOKYO DOME CITY HALL』

『WWD大冒険TOUR2015～この世界はまだ知らないことばかり～ in TOKYO DOME CITY HALL』　「アイドルの現在形」を駆け抜ける６人の輝きに思わず涙
　ＤＶＤ再生から十数分。画面の前で、気がつけば涙していた…。秋葉原のライブバー「ディアステージ」から誕生し、今や海外でも人気を集める６人組ユニット・でんぱ組.incのツアーファイナルを収めた本作。東京ドームシティホールを埋め尽くすオーディエンスの熱、２７日間という長い旅路を乗り越えてきたメンバーの熱。双方が一体となって作り上げる非日常空間に、一瞬で取り込まれてしまった。

　ゲーム、アニメ、電波ソングなど、すべてのメンバーが何らかの「ヲタク」であり、ひきこもりやいじめの経験をあえてさらけ出す「共感系」アイドル。「マイナスからのスタート」を自認し、「学校なんか行きたくなかった」「生きる場所なんてどこにもなかった」など、従来のアイドルとは一線を画すネガティブな感情をつづった楽曲も、一糸乱れぬ踊りとキラキラの笑顔で、とにかく懸命に歌い上げる。そのパフォーマンスはもはや、「いのちの輝き」そのもののレベル！　だからこそ、強く胸に響くのだろう。そんな彼女たちにこたえるように、完璧なコールを送るファンの声も、欠かせない作品の一部となっている。
　高い熱量を放つ、疾走感あふれるライブに気分爽快、そして最後は自然と笑顔になれる。「うちらだってがんばってるんだよ！」と、彼女たち、そしてファンたちにも、励ましてもらった気がするのだ。
　（MEME TOKYO・３９００円＋税）＝玉木美企子
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玉木美企子のプロフィル
　たまき・みきこ　１９７７年生まれ。ライター／編集者。出版社での雑誌編集、ラジオ構成作家等を経て、現在は食や農にまつわる広告・媒体制作を中心に活動。音楽の琴線は歌声、歌詞、そして太鼓やピアノなどの「音」を聴くこと。２０１５年より拠点を東京から長野へと移す。
(共同通信)