国民保護計画、県内3町村で未策定 「戦争準備」懸念の声


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 テロや外国からの武力攻撃に備える国民保護法に基づき、全国各市町村で策定されている国民保護計画について、県が県内各市町村の策定状況を調べたところ、ことし3月9日現在で3町村で未策定になっていることが分かった。未策定は全国で4市町村のみで、県外1市以外は全て県内となっており、県は策定を呼び掛けている。一方、保護法では有事の際に民間の土地や家屋の使用を認めており、「戦前回帰」の印象も根強い。安全保障関連法が成立したこともあり、有識者からは「戦争への下地を整えることにもつながるため、計画策定にはさらなる議論が必要ではないか」としている。

 県によると、未策定なのは読谷村、伊平屋村、与那国町。伊平屋と与那国の両町村については策定に着手しているものの、読谷村は未着手になっている。計画策定は消防庁や県が求めており、全国の1741市町村の99・8%に当たる1737市町村が既に策定しており、未策定なのは県内3町村を含む4市町村のみだった。読谷村は理由について「ほかの業務があるため」としている。
 県内には米軍関連施設が多数あり、武力攻撃やテロの危険性は相対的に高まる。しかし高良鉄美琉球大学教授(憲法学)は「沖縄戦を経験しているからこそ、国民保護法に対する抵抗が根強いのは当然のことだ」と指摘する。また同法と安保関連法が「相互補完の関係にある」とも語り「計画策定を進めることは戦争ができる国の準備につながりかねない」と訴える。
 一方、計画を策定済みの自治体でも課題を抱える。消防庁や県は計画に絡み、避難の経路や場所を想定した避難要領のひな型作成を求めているものの、14年4月5日現在で県内の作成率は7%(母数に計画未策定自治体を含む)にとどまっており、全国ワーストとなっている。