労働生産性、沖縄は全国平均の7割 所得最下位の一因に


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 労働者1人当たりが働いて生み出す物やサービスの価値「労働生産性」が沖縄県は全国平均の約7割にとどまり、1人当たりの県民所得の全国最下位が続く要因となっていることが沖縄労働局のまとめで分かった。

労働生産性が低い背景について、労働局は高価格の製品を生産する産業が少ないなどの産業構造が影響していると分析している。非正規雇用の割合や若者の早期離職率の高さなど雇用の質が労働生産性の低下に追い打ちをかけている。
 最新統計となる2012年度の県内総生産と就業者数に基づいて計算すると、沖縄の労働生産性は年間で606万7千円となっており、全国平均の823万円を216万3千円下回る。
 産業別で見ると、卸売・小売業が393万円で全国平均629万円の62・5%、製造業が557万円で同854万円の65・3%にとどまっており、特に低い。
 全国では製造業の総生産のうち安価な食料品が15・2%で、高価格の製品を造る一般機械11・0%、電気機械12・2%、輸送用機械14・6%も一定の割合を占めている。
 一方、県内では食料品が47・1%を占め、一般機械0・5%、電気機械1・5%、輸送用機械0・4%にすぎない。
 こうした産業構造に加え、44・5%(12年の就業構造基本調査)に及ぶ非正規雇用の割合や11年3月に高校を卒業して就職した人のうち3年以内に離職した人が61・7%に及ぶ若者の早期離職率の高さなど、雇用の質に関する課題が沖縄の労働生産性の低さに追い打ちをかけている。
 労働局の国代尚章前職業安定部長は「『サービス業が多いから労働生産性が低いのは当然だ』と思うのではなく、高めていく努力が必要だ。沖縄の特徴である観光関連業でいかに付加価値を付けていくのかという視点が求められている」と指摘。「離職率低下や、働くやる気の向上につながれば良い製品アイデアやサービス提供にもつながる」と雇用の質向上が労働生産性も高めることを強調した。(古堅一樹、崎原有希)