<市制施行10周年 未来広がるばんたがみゃーく・我々の宮古島>上


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サトウキビの生産性向上に向け学ぶ関係者ら=2月、宮古島市内

 サトウキビ、マンゴー、葉タバコ-。宮古島が県内で一番生産量が多い農産物の一例だ。市町村合併による市制施行10周年を迎える宮古島市は、県内屈指の「農業の島」として名をはせる。一番標高が高いところでも113メートルと、お隣・石垣島の於茂登岳の5分の1ほどしかない。比較的平たんな地形から古くは「太平山」とも言われた島は、隅々まで人の手が入り、農業生産を支えてきた。

 「サトウキビは島の生活を支えてきた。宮古の人たちは、サトウキビに対する思いが(島外の人と)全然違うんだ」と元気な宮古島農業の状況を笑顔で話すのは、宮古製糖の安村勇社長だ。市内には現在、沖縄製糖の宮古工場も含め、製糖工場が3カ所あり、安定操業を続けている。サトウキビ生産量の減少が続き、今月1日、球陽製糖と翔南製糖が合併し新会社「ゆがふ製糖」の設立に至った沖縄本島の状況とは一線を画している。
 川がほとんどないため、天水頼みの農業が行われていた宮古島。ひとたび干ばつとなれば農業生産が急減し、島の経済を揺さぶった。だが「水なし農業」からの脱却を目指し、地下ダムとかんがいの整備が進むと、基幹作物であるサトウキビの生産が安定した。農業の多様化ももたらし、マンゴーなどの果樹や施設園芸の普及が進んだ。マンゴーなどを生かした土産物などの開発も進み、島の経済や農業に大きな変化をもたらしている。
 着実な発展を続けてきた宮古島の農業。目下、2017年度の送水を目指し、宮古島から伊良部大橋を通って伊良部島に農業用水を送る事業が進んでいる。完成すれば伊良部島におけるサトウキビの反収が1・5倍になると見込まれ、大きな効果が期待されている。
 宮古島市の福里匡農政課長は、高齢化などの課題を挙げながらも「宮古島市の農業生産はしばらく減ることはない。農業の機械化などを進め、伸ばさないといけない」との見通しを示し、宮古の農業発展に向け意欲を見せた。(知念征尚)
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 新報移動編集局「宮古島ウイーク」地域づくりフォーラム「地域資源を活用した宮古島の可能性」は、30日午後1時半から宮古島市のマティダ市民劇場で開催する。