<市制施行10周年 未来広がるばんたがみゃーく・我々の宮古島>中


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伊良部大橋開通後初の佐良浜漁港海神祭で、島内外から訪れた多くの市民や観光客に切り身を振る舞う漁師ら=6月、宮古島市伊良部の佐良浜漁港

 世界最大の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」が発表した2015年の「ベストビーチ」調査で与那覇前浜ビーチが国内1位に輝くなど、天然の観光資源に恵まれる宮古島市。川らしい川がなく雨が降っても土砂が直接海に流れない独特の環境は、透明度の高い海と豊かなサンゴ礁群を生みだし、島の貴重な財産になっている。

 「宮古島観光への注目度が、これまでにないほど高まっている」と観光産業の盛り上がりを語るのは、宮古島観光協会の池間隆守専務理事だ。2014年度の宮古島市の入域観光客数は前年度より7%多い、過去最高の43万人を記録した。
 15年度に入るとその状況に拍車がかかり、4~6月は前年同期比約150%増となるなど、前年を上回る好調ぶり。一時はスカイマークが3月末で宮古路線から撤退した影響も懸念されたが、吹き飛ばした。
 池間専務理事は「一時提供座席数が減った中での数字だ」と驚きをもって受け止める。昨夏から伊良部大橋をツアーに組み入れる旅行代理店の動きがあったとし「大橋開通効果が表れている」と喜びを語った。
 大橋開通の効果を一番受けているのが伊良部地域だ。大橋開通前、伊良部島に渡っていた観光客は宮古島を訪れた観光客全体の2割程度にとどまっていたが、開通後はほぼ全員が渡っているとみられる。
 直売店「漁師屋」などを運営する伊良部漁協の漢那一浩組合長は「橋開通当初は直売店の売り上げが3倍に伸びた。今は少し落ち着いたが好調だ」と笑顔で話す。「客をもっと引き付けるイベントなども考えたい」とやる気をみなぎらせる。
 宮古島では7月から、これまで低調だった外国の大型クルーズ船の定期就航が期間限定で始まったほか、冬場の閑散期にも韓国から航空チャーター便が運行されるなど、外国人観光客も増加している。一方、税関・出入国管理・検疫(CIQ)体制が不十分なのが課題だ。金融関係者からは、観光客の伊良部島での滞留時間が短く、宿泊も含めインフラ整備の必要性を訴える声もある。
 観光業が好調な一方、生活路線でもある那覇路線を中心に航空便が慢性的に混雑しているのも大きな課題で、観光客に加え地元関係者の利用もにらんで、航空便の増便を求める動きも始まっている。(知念征尚)
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 新報移動編集局「宮古島ウイーク」地域づくりフォーラム「地域資源を活用した宮古島の可能性」は、30日午後1時半から宮古島市のマティダ市民劇場で開催する。