山内昌也(歌三線)と岡田光樹(バイオリン)のリサイタル「永遠の響き3~ピアノデュオ新崎姉妹を迎えて~」が25日、沖縄市民小劇場あしびなーであった。
2013年から始まり、今回で3回目。ゲストに新崎誠実(なるみ)、洋実(ひろみ)の新崎姉妹を迎え、ことし6月に、新崎姉妹と共にフランスで演奏した沖縄初演の曲などを披露。それぞれの古典から三線とバイオリンの共演といった前衛の楽曲など、対立と調和、融合の音色が響き渡った。
第1部は古典への畏敬を表した同時代の曲を演奏した。山内は古典音楽の代表曲「二揚 仲風節」でゆったりと弾く三線に、伸びやかな歌声を響かせる。岡田の演奏したバッハ「無伴奏バイオリンソナタ第1番ト短調」はバロック時代(1600年ごろ~1750年ごろ)に生まれた。バロック時代は本格的な器楽隆盛の時代で、西洋音楽にとっては重要な時代といえる。その時代に生まれたバッハの功績をたたえるように、時に軽快に、時に重厚に奏でた。
披露宴などでなじみのある「かぎやで風節」では山内の三線に合わせた、岡田のバイオリンの音色が歌声を表した。
第2部からは新崎姉妹も加わった。「茶屋節」は山内の歌三線に合わせ、新崎姉妹が1台のピアノを2人で弾く連弾と岡田が即興で音を織り込んでいく。
フランスで初披露し、沖縄初演の中村透「とぅばらーま幻想曲」は荘厳さを感じさせる新崎姉妹の音色から始まる。ピアノに合わせ、バイオリンの乾いた音と、山内の歌声が重なる。三線とバイオリン、ピアノの絡み合う声と音色はどこか神秘性を思い起こさせる。岡田が弦を指ではじく「ピチカート奏法」や、誠実が鍵盤ではなく、ピアノ内部の弦をはじく「内部奏法」など、視覚でも楽しませた。
アンコールでは「てぃんさぐぬ花」などを披露。山内は「沖縄だからこそできる音楽を」と今後のリサイタルへの意気込みを語った。琉球の三線と西洋のバイオリン、ピアノの融合。伝統に敬意を払いながら、弦の音色を歌声にするなど、大胆な表現を組み込んだ曲を次々と編み出していく山内と岡田の挑戦に今後も可能性を感じさせた。(大城徹郎)