豪雨の中で緊迫感と熱演
14年ぶりとなるライブ盤が2枚同時発売。どちらも全16曲、約79分で、『雨のち晴レルヤ』や『サヨナラバス』など『二人参客 2015.8.15~緑の日~』の方がヒット曲中心だが、彼らの本領を知るならば、本作がオススメ。
なんと2曲目『ところで』から、明らかに大粒の雨音が入ってくるのだ。ゆずのMCや水気の多い手拍子からも豪雨だと分かる。
その中で、北川悠仁が声をからして熱唱したり、岩沢厚治がロングトーンをキメたりと、雨に負けまいと熱演が続く。速弾きが鮮やかな『シシカバブー』や、「越えて越えて越えて」と続ける『虹』など前日と同じ曲とは思えぬほど、いつ中断になるか分からない緊迫感と闘う様子は、さながらアスリートだ。それゆえ、ラストの『栄光の架橋』は、アテネ五輪の感動を重ねて目頭が熱くなった。
客「もう1回、もう1回」→北川「バカ野郎――!」のお約束が面白い『夏色』も当然収録。本作を聴けば、“今”を精いっぱい生きる大切さを実感するはず。
(トイズファクトリー・生産限定盤2315円+税)=臼井孝
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臼井孝のプロフィル
うすい・たかし 1968年生まれ。総合化学会社、広告代理店勤務を経て、T2U音楽研究所を設立。音楽市場分析のほか、音楽配信サイトやオムニバスCDの選曲を手がける。
トイズファクトリー (2015-09-09)
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