小林さん環境大臣賞 17年間大度海岸でウミガメ保護


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 【糸満】糸満市の大度海岸で17年にわたり絶滅が危惧されるウミガメの産卵を観察・保護している小林茂夫さん(74)がこのほど、県で初めて「自然公園関係功労者」として環境大臣賞を受賞した。カメの産卵を通して「命の営み」の素晴らしさを多くの人に伝えてきた小林さん。「今後もできる限り活動を続けたい」と意欲を見せている。

 1999年に東京から沖縄に渡り、海に近い糸満市大度に移り住んだ。間もなく、妻と散歩中に大度海岸でカメの死骸を発見した。「水族館で見るもの」と思っていたウミガメが近所の海にいることに衝撃を受けた。
 これをきっかけに大度海岸のごみ拾いとウミガメの観察を始めた。同海岸は戦跡国定公園に指定されていることから環境省の委嘱を受けて自然公園監視員・指導員を長年務めた。
 ことしで活動を始めて17年を迎えた。産卵シーズンの4~9月の期間は夜から朝方にかけて観察を続けるが、持病もあり体は楽ではない。活動を続ける理由について聞くと、「いつかカメが竜宮城に連れて行ってくれると思ってさ」と笑うが、心には自然を尊ぶ思いとカメの命の営みに対する尽きない感動がある。
 「砂浜に必死に踏ん張って産卵するカメの姿を見てると“母は強し”と思う。何度見ても感動するんだよ」と語る。
 環境大臣賞の受賞については「小さいことでもこつこつと続けていれば大きな形になるということを若者に伝えることができたと思う」と話し、「次の世代にも活動を引き継ぎながら、豊かな自然を守っていきたい」と力を込めた。
(赤嶺玲子)

ウミガメの甲羅の長さを測る小林茂夫さん=2013年5月、糸満市の大度海岸(梅田正覚撮影)
糸満市の上原裕常市長(左)に環境大臣賞の受賞報告をする小林茂夫さん=9月25日、糸満市役所