星明かりにタマン輝く 夏の夜、食い止まらず


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 夏の夕暮れ、のどかな海辺では無人の竿(さお)が獲物を待っている。穂先に付けた鈴はさび、ちょっとやそっとの風では鳴らない。竿尻からロープが伸び、その先は武骨な感じでブロックに結わきつけられている。竿の主人は時たま思い出したようにやって来ては餌を付け替える。「晩酌に一品添えられるかな」。なんともスローライフな1日の終わりに待つ魚こそ、亜熱帯の申し子タマンである。
 座間味島に住む中学3年生の中村宏人君の家の前には海が広がる。海まで歩いて10秒とはかからない。阿真港一帯から古座間味ビーチをホームグラウンドに、お父さんとタマンやガーラ釣りを楽しんでいる。5歳から始めた釣りは生活の一部で、ネーチャーゲームを地でいくようだ。7月21日、宏人君はエントリーした第1回バトルカップタマン釣り大会の主戦場に古座間味ビーチを選んだ。小さいころから幾多のターゲットを仕留めてきたポイントだ。
 18時、サンマのぶつ切りを餌にフルキャスト。ヤマトビー、小型のタマンが反応よく飛び付いてくる。残照が消えた20時半、5メートル余りのイシダイ竿が大きくしなった。竿を立てジリジリと引き寄せると、この夏一番の大型タマンが星明かりに輝いた。
 日本釣振興会沖縄県支部(星飛雄馬支部長)主催の第1回バトルカップタマン釣り大会の結果は次の通り。
1位・久高幸正3・56キロ
2位・伊計亮作3・49キロ
3位・中村宏人3・10キロ
 サンセットフィッシングは、潮のリズムから今週末と来週の初めにかけて期待できそう。

 【各地の釣果】
 ◎家族でよく釣りに出掛ける比嘉ファミリー。最近通い始めた宜野座ビーチはタマンの濃厚な気配に満ちるものの、思い通りの釣果にはならなかった。7月16日、深夜零時。訪問3度目にしてやっと、62センチのタマンが餌のシガヤーダコに食らいついてきた。
 ◎沖縄市の山里青年会でエイサーに汗を流す城間常治さんは、練習が終わると夕涼みを兼ねて竿を出す。7月21日は浜比嘉島の奥、赤灯付近からテトラの内側に向かい冷凍赤エビを餌に一本放り込んだ。真夜中3時20分。7号ハリスがピーンと張り、元気なタマンが涼とともに現れた。
 ◎沈みテトラが重なり合う深い溝を狙ってガラサー仕掛けを下ろしてゆく。台風後の7月18日正午の与那原海岸、砂川慎さんはこうして10キロものマクブを釣った。釣りに行くたび地道にウニをまいた実りだとか。付け餌のウニはしん掛け。
 ◎那覇一文字も釣果安定。7月に入り20キロ前後のガーラが台風を除く週末に釣れている。北堤の夜はタマンの数釣り、タイヤ、赤灯では日中にアーガイ。29日、新垣隆斗、隆葵君兄弟は、お父さんら5人で渡堤。初めての釣り体験でオジサン、サヨリ、トカジャーなど数釣りを楽しんだ。
 ◎与根漁港のひかる丸は、この夏手ぶらで参加できるパヤオ半日ツアーを始めた。外洋に設置された本格的パヤオへの案内とあって注目されそう。7月30日は釧路から家族旅行で沖縄を訪れた渋江さん一家5人を乗せて出航。シイラやキハダの引きに歓声の連続。「楽しいー!」と一番たくさん釣った大河君。船案内 ひかる丸090(9783)9082。

<新報アングラーズペンクラブ結成>
◆無限大の楽しさ発信
 年間数十万人もの人々が太古からの営みである「釣り」を楽しむ沖縄。この紙面から釣りのコーナーを消してはならないと、琉球新報アングラーズペンクラブが結成されました。読者の皆さんにも大いに参加していただき、無限大の釣りの楽しさを発信してまいりたいと思います。ご意見、ご要望をお寄せください。また釣果写真、情報などを幅広く募集いたします。
(佐久川政一郎)

【写真説明】上から
(1)3.10キロのタマンを釣り3位に入賞した中村宏人君
(2)お父さんのタマンでちゃっかりポーズの比嘉梓さん
(3)エイサーの練習後に浜比嘉島の夜釣りでタマンを釣ったジョージとモーリ
(4)ガラサー仕掛けのウニにきた10キロのマクブと砂川慎さん
(5)那覇一文字デビューで数釣りを楽しんだ新垣隆斗、隆葵君兄弟
(6)ひかる丸の半日体験パヤオでキハダを釣った渋江大河君