苦労の末、納得の1匹 釣り人のみ知る“重さ”


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 7月30日、するするスルルー釣りのパイオニア与那嶺功氏と与古田直次氏の2人は慶良間諸島黒島タッチューの離れポイントへと向かった。
 するするスルルー釣りとはスルルー(キビナゴ)を餌にした完全遊動仕掛けのことで、オキアミの餌に比べ釣れる魚が大きいことが魅力。今回2人の目標は10キロオーバーの「BIG ONE」。
 前回6月27日に与那嶺氏がこのポイントで県記録のオーマチ(アオチビキ)14・2キロを釣った後だけに期待も膨らむ。
 午前3時30分に那覇を出発。午前5時30分、釣り開始。15分後、最初に釣れたのは2キロ近いナガジューミーバイ。朝焼けに深紅の魚体がまぶしい。
 これは幸先が良いかと思ったが、その後はシジャー(ダツ)の猛攻。時折、2キロ前後のオーマチやツムブリ等もヒットするが、「BIG ONE」と呼ぶには程遠い大きさ。おまけに真夏の太陽は容赦なく2人を焦がし、じっとしていても汗がしたたり落ちる。暑さが集中力とやる気をどんどん奪っていく厳しい条件下、それでも2人は仕掛けの投入を繰り返す。大物との出合い、感動を求めて…。
 そして午後2時18分、与古田氏の仕掛けに、これまでの魚とはあきらかに違う大物が食いついた。パラパラとリールからすごい勢いでラインが飛び出して行く。
 ラインを5メートル送ったところで全身を使ってフッキングを数回。異変を感じた大物は必死の抵抗を繰り返す。大物対応のロッドがきれいな弧を描き、ピンと張ったラインからはキーンと糸鳴りがする。魚が根に入り込まないように満身の力で大物の引きに耐えるアングラー。
 2分後、タモ(手網)に納まったのはブルーの色も鮮やかな5キロのオーマチ。目標の半分ほどしかない大物ではあったが、2人には納得の1匹。過酷な環境の下、苦労して釣り上げたターゲットの重さには、釣り人にしか理解できない感動の重さも加わっているのだ。

 【お知らせ】
 第3回カーエー・タマン王座決定戦参加者募集。財団法人日本釣振興会沖縄県支部(星基一支部長)は17日(金)から19日(日)の3日間、第3回カーエー・タマン王座決定戦を開催する。カーエーと、タマンの2部門で沖縄1を決定するもので締め切り間近。参加希望者は、お急ぎ日釣振加盟釣り具店へ。
 【各地の釣果】
 ◎カーエーは単発ながら各地で釣れている。ポイントは糸満西崎周辺、与根漁港、宜野湾マリーナ、沖縄市夢咲公園、浜比嘉島、サンマリーナ横、21世紀の森裏、マックスバリュ本部店裏、汀間漁港など。
 ◎タマンは大型は少ないが場所によっては数釣りすることも。特に今週末は闇夜の大潮になるので期待できる。今釣れているのは、糸満モクマオウポイント、安謝港周辺、宜野湾海岸や北谷テラス、読谷海岸や恩納海岸、伊計島や宮城島周辺、今帰仁海岸や古宇利島等。
 ◎ファミリーにお勧めなのが港川漁港と宜野湾新漁港、金武町浜田漁港等。ガチュンの群れが回遊しサビキ釣りで数が釣れる。
 ご意見、ご要望をお寄せください。また釣果写真、情報等を幅広く募集いたします。
(新報アングラーズペンクラブ・仲栄真修)

【写真説明】上から
(1)きれいな弧を描くロッド。ピンと張ったラインからはキーンと糸鳴りがした。与古田直次氏の竿(さお)さばき
(2)ブルーの色も鮮やかな5キロのオーマチと与古田氏
(3)高嶺徹弥さん(釣クラブ・テトラポッツ)。カーエー46・5センチ、2・02キロ。餌はオキアミ、1日午後11時40分ヒット=宜野湾海岸
(4)上原義彦さん(右)とファミリー。カーエー43センチ、1.5キロなど数釣り。ネリエサ、仕掛けは、浮き釣り、道糸8号、ハリス7号、ウキ1号、早掛けカーエー針11号=7月30日、安謝海岸
(5)(右から)城間、渡慶次、狩俣さん。アーガイ36・5センチ、1・0キロ=7月24日、与那トンネル
(6)比嘉雄二さん(釣りクラブ・南釣友会)。ロウニンアジ21キロ、全長113センチ。シジャーの1尾掛け=7月22日、屋嘉比島の地磯
(7)宮平直哉さん(左)と結愛ちゃん。タマン(左)56・5センチ、2・5キロ=3日、渡名喜島