「泳がせ」で大物狙い 沖釣りシーズン真っ盛り


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 この夏は悪天候に見舞われることが多く、相次ぐ出船回避で沖釣りファンには欲求不満の季節となった。しかし気象や海象が安定した8月後半には釣果も上昇カーブを描き、9月最初の週末は各港とも待ちかねた沖釣り師たちの祭典のようなにぎわいをみせた。
 続々と届く釣果報告からは、ビギナーもどっと海に繰り出し、各地でうれしい沖釣りデビューを飾ったことが分かる。本稿は沖釣りスペシャルとし、いま最も注目されている「泳がせ釣り」にスポットを当ててみた。
 泳がせ釣り。この釣りは海底で繰り広げられる弱肉強食の摂理を利用し、生きた魚を餌に用いて食物連鎖の上位にいる大きな魚を狙うもの。大物が近づくと生きた餌は死に物狂いで逃げ惑い、ガクガクと竿(さお)先を震わせる。釣り人は自然界の無情な営みに触れ、背筋がゾクゾクするような緊張と興奮を覚える。
 猛魚の狩りは休むことなく進み、釣り人はまばたき禁止のクライマックスを迎える。餌のムロアジになすすべはなく、次のシーンで釣り人は必死の形相で竿を支えムロアジに代わって猛魚と対峙(たいじ)するのである。

◎泳がせ釣り1
 8月28日。シーランド北谷店の儀保順一さんは、オーパフィッシングクラブのメンバーとともに恩納村真栄田漁港から彩香II(神谷研二船長)で伊江島沖に出た。朝のうちニライ7号パヤオで餌となるムロアジを確保し、午後に1時間ほど離れた伊江島西のそね、水深100―200メートルのポイントで大物狙いを繰り広げた。14時30分、最初のヒットは荻堂哲さんにやってきた。やりとりの最中に儀保さんの竿にもヒットした。2人とも久々に大物の引きを堪能して11・8キロと15・4キロのカンパチを釣り上げた。さらに納竿間際の15時45分には崎浜秀智さんの竿にも12・5キロのカンパチがヒットし、合計3匹のカンパチとほか多数の魚を釣り上げた。

◎泳がせ釣り2
 9月1日。「釣り」を共通の趣味とする渡辺夫妻は全国を釣り歩く。ルアーフィッシングが好きでいつもはGTを追っかけるのだが、今回は泳がせの大物釣りを経験してみようと、うるま市具志川漁港から大和(山田正船長)で太平洋に出た。夜の外洋ではトビイカを泳がせて大マグロを追い、夜が明けてはムロアジを餌にカンパチを狙った。生き餌の確保に苦戦を強いられたが、12キロのキハダと10キロのカンパチを狙って捕るという結果を残した。しかし釣りは終わらない。釣り師は常に次を見据える。それは70センチのムロアジをいったんはくわえておきながら最後に吐き出した、捕り損ねた大魚との再挑戦だ。

【各地の釣果】
 ◎沖釣りデビュー
 ファミリーマート北谷上勢頭店の前原オーナーは大の釣り好き。8月31日、奥さんを含む店の女性スタッフに沖釣りを楽しんでもらおうと、サンノリー半日沖釣りツアーに参加。航程10分ほどの嘉手納沖、初めはぎこちなかったメンバーも船長や釣具店スタッフの手ほどきを受けて次々にグルクンやミジュン、トカジャーなどを釣り上げ、クーラーを満杯にした。
 半日沖釣りツアーは初心者やファミリーにお勧めで、各釣具店で企画されている。船賃からタックル、餌まですべてがセットで5000円前後。1人でも気軽に楽しめるのが売り。

【取材協力】
 サンノリー北谷店098(936)1639。
 彩香II090(5083)3706。
 大和090(1944)0327。
 ご意見、ご要望をお寄せください。釣果写真、情報等も幅広く募集しております。
 (新報アングラーズペンクラブ・仲栄真修)

【写真説明】上から
(1)泳がせ釣りは有望だと語る(左から)荻堂哲さん、崎浜秀智さん、儀保順一さん
(2)夜昼を通してジギングと泳がせ釣りを楽しんだ渡辺淳也・朋子さん夫妻(中央は山田正船長)
(3)晴天の沖釣りデビューを楽しんだファミマスタッフ。(前列左から)前原亜紀さん、岳原由紀乃さん。(後列右から)加藤マナさん、大嶺さゆりさん、サンノリースタッフの村吉麻美さん
(4)9月1日、深海釣りでカンパチやタイクチャーマチなどを大漁したオーパのメンバー。(前列左から)真栄城武志さん、石川賢二さん、知念勝治さん、崎浜秀智さん。(後列左から)城間敏さん、荻堂哲さん、宮平誠さん
(5)グルクンを泳がせて初アカジンを手にしたベテラン釣り師の並里重成さん
(6)8月26日、安次富実さんは息子の真吾君と辺野古沖にマイボートを繰り出し15キロのソージガーラを仕留めた