タマンこれからピーク ハンディ乗り越え楽しむ


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 タマンが釣れ始めたとの情報が入り、9日午前5時、那覇港沖の北防波堤に渡った。ポイントに着くと、前日の夜からタマン狙いで渡った沖磯連のメンバー数人と合流した。白々と夜が明け始めると、1人の釣り人に目がとまった。その人は片足がなかった。驚いている私にメンバーが「彼はすごいよ。体が不自由にもかかわらず、荒磯やテトラでも釣りをする。そしていつも何かしら釣ってくる」と教えてくれた。
 その言葉を裏付けるように、彼の竿(さお)に魚がヒット。大きく弧を描く4号竿。根に回り込まれてはラインを切られてしまうので、強引にリールをゴリ巻きし、魚を寄せにかかる。魚の強い引きに彼の顔がゆがむ。「がんばれ。がんばれ。大物だぞっ」と周りの釣り人も彼を囲んで応援する。
 しばくして海面に浮いたのは狙ったタマンではなく、3・32キロのスマガツオ。本命ではなかったが、うれしい外道に周りのメンバーも自分のことのように喜んだ。
 「釣りは人生の生きがい。片足がないことなんて小さな障害」と笑う釣り人の名は比嘉勇樹さん。29歳、4人の子どものお父さんでもある。今回は、彼の前向きな生き方と、周りのメンバーのさりげない優しさに触れ、心温まる取材となった。
 那覇港沖防波堤はこれからゴールデンウイークのころまでタマン釣りのピークを迎える。

【各地の釣果】
◎狙いガーラに変え奏功
 タマン狙いで浜比嘉島に繰り出す宮城文彦さんは、このところガーラにスプールいっぱいのラインを引き出され切られ続けていた。12号、16号、18号と太くしても結果は同じ。8日、マンモス泡瀬店の盛根店長に大型ガーラ対応の仕掛けを伝授されポイントに乗り込んだ。最満潮時、実兄が釣ったアオリイカを餌に放り込み22・5キロのロウニンアジを召し捕ることに成功。「タマンでは味わえない心地よい筋肉痛が癖になりそう」とか。

◎竿も吹っ飛ぶ大型キス
 親子で釣りを楽しむ玉城さんファミリーは2日、宮城島の水路でちょい投げ釣りを楽しんだ。殺気を感じたのか、お父さんの高価な竿にはアタリがなく、息子の紀(しるす)君が堤防に立て掛けた980円の竿が何者かのヒットで浮き上がり、今にも吹っ飛びそうになった。慌ててお父さんが足で押さえ、紀君が巻き上げをスタート。「チヌかと思った」ほど力強く走り、なかなか寄せることができなかったのは今季最大の30センチのホシギスであった。

◎沖釣りの本発売
 沖縄スタイル社から保存版「沖釣りのすべてがわかる本」が出た。沖縄で釣れる魚図鑑やターゲット別攻略法、ビギナーからベテランまで楽しめるお薦めの釣り船リスト他、釣行に役立つ離島の釣りやボートフィッシングのポイントをガイド。沖縄で船釣りを楽しむための情報が満載。お求めは全国の書店、釣具店。

 ご意見、ご要望をお寄せください。釣果写真、情報も幅広く募集しています。(新報アングラーズペンクラブ・仲栄真修)

8日、宮城文彦さんは活きイカを餌に浜比嘉島で22・5キロのガーラを釣り上げた
8日、那覇沖北堤でオキアミを餌に68センチのタマンを釣った知念友樹さん
5日、湧川で52センチ、2・28キロのチンシラーを釣った武島毅さん
9日、北防波堤で3キロを超すスマガツオを釣った比嘉勇樹さん
2日、宮城島の水路で30センチの大型キスを釣った玉城紀君とお父さん
沖縄スタイル社から発売された船釣りの決定版「沖釣りのすべてがわかる本」