【チャイナ網路】産まない理由


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 日本では1人の女性が生涯に産むとされる子供の数が、過去最低の1・29人になったことが話題になった。台湾は1・18人と世界第2位の低さ。状況はさらに深刻だ。政府は今、第3子から月額約1万円の育児手当支給を柱とする対策の検討に入っている。
 ある調査によると、産みたくない最大の理由は「養育費への不安」だ。特に女性の子に対する期待は高く、9割が大学以上の学歴を望み、6割が留学を夢見る。回答者の6割以上が、経済的理由で留学を断念した経験の持ち主というから、親予備軍の苦悩は深い。
 「妊娠の件数は減少してはいない」とする専門家もいる。つまり、多くが中絶し、出産を放棄しているわけだ。中絶理由の「妊娠中に薬を服用」が約4割という異常な高さ。「万が一でも障害のある子が生まれては」と考えた結果とも読める。
 「結婚こそ女の幸せ」「女は家事と育児」という時代から、徐々に自分の人生を選び取る力を手に入れてきた女性たち。少子化は、子供も“産み分けよう”とする、意志の表れでもあるようだ。
(本紙嘱託・沖縄大学助教授)