【交差点】泡盛の香港進出


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 3年ほど前に香港に赴任してから、香港市場を観察し続けているが、酒を飲まない人が多い香港で泡盛を売るのは容易でないと思っていた。ところが、この香港で県内全47酒造所の泡盛を一堂に展示し、8酒造所が参加して試飲・商談会が開かれた。
 会場となったのは県出身者が営むジャパニーズ・ダイニングバー「えん」。おしゃれな高級居酒屋と表現したほうが分かりやすいが、日本食のほかゴーヤーチャンプルーなど沖縄料理も提供する。
 4年前に1号店を開店し、今では3店舗を経営する又吉真由美さんは「最初はお茶を飲んでいた香港人が、まずは県産ビールを飲み、沖縄料理と泡盛を注文するようになった」と話す。泡盛は徐々に香港の人たちに受け入れられ、取扱量も年々増加しているという。さらに又吉さんは、泡盛や沖縄の食材を広めたいと貿易・卸会社を設立し、泡盛商談会を企画した。
 飲食店で泡盛が好評なのを受け、積極的に事業拡大を図る又吉さん。これに沖縄県酒造組合連合会など関係者が協力し、香港での試飲・商談会の開催にこぎつけた。香港での泡盛の展開はスタートしたばかりだが、今秋から泡盛を通年で販売したいと申し出る百貨店があるなど、見通しは明るい。
 酒を飲まないといわれる香港人が、泡盛を受け入れつつある。やっぱり泡盛は名酒だと感じた。
 (志村正人・県産業振興公社香港事務所長)