那覇の街角で友人を待っていると、かわいらしい車が悠々とスローテンポで大きな交差点を横切っていった。実に面白い形をしている。どこ製の車だろうかと不思議に思った。
どうもスピードは出ないようである。そして、数日後あるレストランで「ヴェロタクシーご存じですか?」というチラシに、あのかわいい車のイラストを見つけた。そうか、ベロタクシーというのかとなぜかうれしくなった。
「ヴェロ」だったのか、「ベロ」と書いてあったのか確かではないが、あの形から「舌」と勝手に思い込んでしまって、おかしな名前だと思っていた。
しばらくヴェロタクシーのことを忘れていたが、今年になって、このヴェロタクシーがドイツ生まれであることが分かった。名前のつづりはVelotaxi。veloというのは、ラテン語で自転車の意、つまりおしゃれな人力自転車タクシーなのである。そこでやっと、あの優雅なスローテンポが理解できた。
車体の材質は100%リサイクル可能な、まさに環境に優しいタクシーなのである。ドイツ人ルトガー・マツシェフスキー氏によって考案され、1997年ベルリンに初登場、2000年のハノーファー万博会場で大活躍したのがきっかけで注目を集め、今では世界12カ国で走行しているらしい。日本では02年、京都を皮切りに、10都市で営業されているようだ。
まだ、遠くから、しかも一度だけしか見ていないドイツ生まれのヴェロタクシーに、是非とも沖縄で対面、そして乗りたいものだと心は故郷にはせている。
(ドイツ通信員)
【島人の目】キシュカート外間久美子/ヴェロタクシー
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琉球新報社
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