【チャイナ網路】台湾大学と四六事件


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 戦後台北帝国大学から改称し、60周年を迎える台湾大学の記念式典が、11月14日に行われる。卒業生は18万人。政財界のトップなど、有名人にはこと欠かないが、今回は大陸在住の13人が半世紀ぶり母校の門をくぐることが決まり、話題になっている。
 1949年4月5日、台湾大学と省立師範学院の学生2人が、突然警官から暴行を受けた。両校の学生が集団で抗議したところ、翌朝、軍隊が宿舎を包囲し、200人余りを検挙。世にいう「四六事件」だ。
 多くが釈放されるが、7人が銃殺刑に処せられ、投獄された学生も少なくない。中にはひどい拷問を受けた学生もいたという。大学に対する戦後初の白色テロとして、その歴史的意味は大きい。が、長らく「二・二八」事件の陰で、忘れられた事件でもあった。
 事件後、国民党政府に絶望した学生たちは、大陸に密航。その数200人以上といわれ、台湾大学生が約半数を占めた。決死の脱出だったが、かの地では「右派」のレッテルを張られ、苦しみは続いた。今回の帰校は同校の戦後史に、大きなピリオドを打つことになるだろう。
(渡辺ゆきこ、本紙嘱託・沖縄大学助教授)