11月1日、本紙が提携する「中国時報」グループの夕刊紙「中時晩報」が廃刊となった。1988年、「報禁」(新聞の発行規制)解除を機に、4紙となった夕刊紙も、これで「聯合報」系の「聯合晩報」を残すのみだ。
台湾の夕刊は本来、午前中のみの立ち会いだった、株の動向を報じるメディアとして成長した。一時は発行部数60万を誇った中時晩報も、インターネットの普及や24時間放送のニュース専門チャンネルの開局で、部数は7分の1以下に激減。その上、株式市場の取引時間延長で、正午の出稿に間に合わなくなり、夕刊は報ずべき目玉さえ失った。
窮地にあるのは、夕刊だけではない。2003年、香港の「蘋果日報(アップル・デイリー)」が台湾での発行を開始。フルカラーの巨大な図版と驚きの機動力。弁護士軍団を控えた大胆な発言で、瞬く間にトップに躍り出、地元紙の部数を侵食している。
「廃刊は、カネがないのではなく、将来性がないから」という判断とか。厳冬を迎えた新聞界。昨年までの5年間で、実に1600人の記者が職を失っている。(渡辺ゆきこ・本紙嘱託沖縄大学助教授)
【チャイナ網路】新聞界の“厳冬”
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琉球新報社
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