【名護】名護市の沖縄愛楽園交流会館で8月18日、ハンセン病を学ぶ教員向け講座(沖縄愛楽園自治会主催)があった。ハンセン病医学史の講座では和泉眞藏医師(86)が「感染症差別のない社会を目指して」と題して解説した。
和泉医師は京都大や国立ハンセン病研究所などで臨床と基礎研究に従事した経験を持つ。ハンセン病の基礎知識として、病原性が弱い一方で、感染力は固定的なものではなく、条件によって変動するとして「安全性を過度に強調することは、危険な感染症の患者は排除されても当然という誤った理念を国民に植え付けることになる」と注意を促した。「絶対隔離絶滅政策」を続けた国の過ちを指摘し、ウィズコロナ時代の人権教育に期待した。
解剖をどう考えるかという参加者の質問に対し、和泉医師は「医学研究にとって必要なものだ。ただし、提供者への尊厳の気持ちがあり、しっかり将来に役立てられたのかという視点が問われる」と応えた。
講座の参加者はハンセン病回復者や家族の講話を聞き、また車座になって意見交換や議論をした。9月24日まで開かれている企画展の作品も鑑賞した。
(増田健太)