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ニンジン収穫、モズク漁見学… 島の環境生かした教育、脈々と <130年 守る地域の宝>(中)うるま・津堅小中学校


ニンジン収穫、モズク漁見学… 島の環境生かした教育、脈々と <130年 守る地域の宝>(中)うるま・津堅小中学校 今年創立130周年を迎える、津堅小中学校=8月17日、うるま市勝連津堅
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【うるま】港を出てゆるやかな坂道が続く集落を抜けると、緑に囲まれた校舎が見えてくる。今年創立130周年を迎える、うるま市立津堅小中学校だ。1893年に与勝尋常小学校津堅分校として開校した同校は沖縄戦で焼失し、一度は島から学び舎が消えた。戦後は1949年に再開した。

 現在の児童生徒数は過去最少の9人で、減少の一途をたどる。それでも島ならではの環境を生かした教育が脈々と受け継がれ、子どもたちを支える風土が根付いている。

 人口355人(234世帯)の小さな島で、ニンジン栽培やモズク漁が盛んな地域だ。「島全体が遊び場だった。近くの無人島まで泳いだり、釣りをしたり」。目を細め懐かしむのは、同校卒業生で津堅自治会会長の玉城盛哲さん(73)。当時は全校生徒が500人を超え島はにぎやかだった。

年に一度の運動会は島民総出だった(津堅島教育百年誌「東海」より)

 現在も運動会などの行事の度に卒業生が島に集まり、子どもたちの成長を見守る。「住民は家族のようで、助け合って生きている」(玉城さん)

 ニンジン収穫体験やモズク漁見学など校外学習も活発だ。中学校の卒業行事「サバニで島回り」は、卒業生や教職員らがサバニで島を一周する。

 當銘剛校長は「子どもたちは地域の人と交流しうまく人間関係を築き、視野を広げている」と話す。「新たな産業を作れるような人材を育てていきたい」と話した。

 (石井恵理菜)