猛練習の末に挑んだ初舞台
吉本橙風太鼓(よしもととうかじだいこ)は、よしもとエンタテインメント沖縄に所属する8人の芸人が新たに旗揚げしたエイサー団体。今年5月に結成し、8月31日に那覇市ぶんかテンブス館で初公演の舞台に立った。大太鼓6人のうち、経験者といえるレベルの踊り手は1人だったが、2カ月の猛練習の末、ダイナミックな演舞を披露。客席の喝采を浴びた。
「とにかく練習がきつかった!」。8月末に行われた初公演の感想を聞くと、6人の踊り手からいっせいに声が上がった。
「手にまめができて、バチが血だらけになった」(ポっポさん)、「大太鼓をひっくり返すのが大変で、もう、指が折れるんじゃないかと思った」(マエショーさん)
![大太鼓の新本奨さん、ポっポさん、マエショーさん](https://ryukyushimpo.jp/tachyon/2023/09/202300928_hyoshi_2men_1.jpg)
踊り手6人のうち、5人はほぼ未経験といっていいレベル。「肘を曲げるなとか、膝を上げろとか。関節の司令塔が全部バグっちゃった」とA16(えーいちろー)さんは苦労を振り返る。
個性的な面々が集結
結成は5月。「お笑いやりながらみんなでエイサーができたら、もっと沖縄を盛り上げられるんじゃないか、という思いでメンバーを募りました」とリーダーを務めた剛くん。その呼びかけに応じて8人が集まった。団体名の「橙風」には、よしもとのシンボルカラーである橙(オレンジ)の旋風を吹かせたい、との思いを込めた。
「最初は誰がメンバーか知らなくて。顔合わせをした時、『このメンバーでやるんだ』と。個性的なので、まとまるのかなって(笑)」(ひがりゅうたさん)
![地方(じかた)のひがりゅうたさん、玉代勢直さん](https://ryukyushimpo.jp/tachyon/2023/09/202300928_hyoshi_2men_3.jpg)
初公演までの練習期間は2カ月。週に2~3回、公演の直前には毎日のように集まり、1回2~3時間、厳しい練習に汗を流した。
地方の玉代勢直さんは、三線は独学。「舞台でやる4曲のうち、2曲は弾ける曲だったんですが、りゅうたと合わせたら全然違ってた。りゅうたの動画を撮って、夜中に何回も見た」と練習に励んだ。
「自分が実際にやってみて、エイサーやっている人たち全員が尊敬できると思いましたね」( 島袋忍さん)。自ら取り組むことで、エイサーへのリスペクトが生まれた。
みんなでやるのが楽しい
猛練習の末、8月31日に迎えた初舞台。エイサーをテーマにしたコメディーを全員で演じた後、エイサーの演舞を披露した。
「客席を見たら、お客さんがコメディーはちゃんと笑っているんですよね、手を叩いて。でも、エイサーになった瞬間に、笑うんじゃなくて小刻みに跳ね始めたんですよ。のっているな、というのがすごく伝わってきましたね」(玉代勢さん)、「お客さんも盛り上がっていて、こっちもみんな自然にテンションが上がっていた感じですね」(新本奨さん)と、初公演の成功の様子を語る。
「きつかったというのはあるんですが、真剣にこうやってみんなでエイサーをやるのが楽しいと思いましたね」というポっポさんの言葉に、メンバー全員が笑顔を見せた。
![大太鼓のA16さん、剛くん、島袋忍さん](https://ryukyushimpo.jp/tachyon/2023/09/202300928_hyoshi_2men_2.jpg)
「具体的には決まっていませんが、年内にあと2回イベントをやろうと決めています。お声が掛かればどこにでも出掛けていって、いろんな人たちの前でやりたいですね」(剛くん)。今後の活躍に期待が集まる。
(日平勝也)
(2023年9月28日付 週刊レキオ掲載)
![](https://ryukyushimpo-stag-01.altis.cloud/tachyon/2023/09/5a59ff8f0059facd7364a1fc41594887.png)