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「休憩長い」と議長不信任 信任決議も提案され議会空転 傍聴人から「市民不在」と冷めた声も 沖縄・糸満市議会


「休憩長い」と議長不信任 信任決議も提案され議会空転 傍聴人から「市民不在」と冷めた声も 沖縄・糸満市議会 議長らに対する不信任決議案が可決された糸満市議会=26日、同市議会議場
この記事を書いた人 Avatar photo 岩切 美穂

 【糸満】糸満市議会は26日の9月定例会最終本会議で、金城寛議長と新垣安彦副議長に対する不信任決議案をそれぞれ賛成多数(賛成11、反対8)で可決した。金城議長について「執行部の答弁調整のための休憩が長く、円滑な議事運営の資質に欠ける」として、野党会派や中立的立場の議員が緊急提案した。

 これに対し与党会派が議長の信任決議案を提案するなど議会は空転。傍聴人からは「市民不在の議論だ。議長の進退を政争の具にしている」と冷めた声も聞かれた。9月定例会では、市有地売り払いなどについて野党議員らが追及した。長時間の休憩が繰り返し挟まれ、22日間の会期中3回、本会議が深夜に及んだ。うち2回は翌日の午前1時を超えた。

 不信任決議案を提出した西平賀雄議員は、地方自治法が議長権限として規定する「議場の秩序保持権」を挙げ、「当局の長すぎる休憩を注意しない議長に憤りを感じる」と述べた。「休憩の責任を議長に負わせるのは責任転嫁だ。不信任には到底値しない」「議長は議員と当局の間でリーダーシップを発揮し適切に運営すべきだ」と与野党から賛否の声が上がった。

 金城議長は「不信任決議に法的拘束力はない」として、可決後も議事進行を担った。決議に賛成した議員らが「進退を議会運営委員会に諮るべきだ」と強く求めたことを受け、「職責を全うしたい」としつつ、近く対応を周囲と調整する考えを示した。

 休憩が長いとの指摘について金城議長は「執行部は法的根拠を示した答弁が求められ、休憩が長くなりがちだ。議事をスムーズに進め、市民に分かりやすくするよう改善を図っていきたい」と述べた。

 傍聴した市内の男性は「来年の市長選もにらんだ政争だ」とあきれた様子。50代女性は「納得できる根拠が明確に示されないまま、数の力で決議され驚いた。根拠に基づき物事を決めるのが民主主義ではないか」と疑問を投げかけた。

 (岩切美穂)