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「世間」の呪縛とギャップと 岩切美穂(那覇・南部班)<ゆんたくあっちゃ~>


「世間」の呪縛とギャップと 岩切美穂(那覇・南部班)<ゆんたくあっちゃ~>
この記事を書いた人 Avatar photo 岩切 美穂

 4年ぶりに開催された糸満ハーレーを取材した。沖縄で取材現場に出て間もなくコロナ禍に突入したため、初めてのハーレー(ハーリー)体験となった。古い集落の西村、中村、新島が競う御願バーレーに始まり、職域や青年団のハーレーと続く。照り付ける太陽。岸壁に腰を下ろし競技を見守る。飲料は飲むそばから汗に変わり、体はいくらでも水分を欲した。

 糸満独特のクンヌカセー(転覆競漕)は、舟を転覆させたと思ったらあっという間に水をかき出し、再びこぎ出す早業だ。2150メートルを競うアガイスーブは、つわものぞろいのハーレーシンカ(こぎ手)による熱戦を新島が制した。海に飛び込む見物客もいて、会場は熱気に満ちていた。「3年連続中止の悔しさをぶつけた。目標の連覇を果たせてうれしい」と笑った新島の1番エーク、上門悠輝さん(29)の言葉に、伝統と勝負に懸ける人々の思いを感じた。

 見物客が歌う「安里屋ユンタ」と三線の音を聞きながら、古里奄美の祭り行事「舟こぎ」の光景を思い出した。奄美大島では、昔ながらの板付け舟と糸満から伝わったサバニを組み合わせた木造船「アイノコ」が使われる。行事の呼称も奄美大島は「舟こぎ」が主流だが、徳之島や与論島、沖永良部島では「ハーレー」や「くり舟競争」などが混在し多様だ。琉球弧のハーレー文化を見比べてみるのも面白い。

 (糸満市、八重瀬町、座間味村、渡嘉敷村)

私が書きました
岩切美穂 (那覇・南部班)