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能楽の世界を堪能/恩納・仲泊小/実演、鑑賞し 伝統文化触れる


能楽の世界を堪能/恩納・仲泊小/実演、鑑賞し 伝統文化触れる 能楽「舎利」の一場面を演じる児童=12月5日、恩納村立仲泊小学校
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 【恩納】能楽の鑑賞会が12月5日、恩納村立仲泊小学校体育館であった。片山九郎右衛門さん主演の「舎利」を鑑賞した。初めて見る生の能楽を前に、物語を理解するために児童は事前ワークショップで解説を聞き、公演の一場面を実際に演じるための自主練習を重ねた。
 文化庁舞台芸術等総合支援事業の学校巡回公演で、京都から片山家能楽・京舞保存財団が来校した。4~6年生は3週間の自主練習に加え、鑑賞会当日に謡と仕舞を稽古し、全校児童113人の前で披露した。
 「舎利」は寺の宝である舎利を鬼が盗み、それを韋駄天(いだてん)が追いかける物語。韋駄天役を演じた山城愛凜さん=6年生=は「鬼が最初に踊るので、謡と鬼の動きに合わせて腕を振ったりするのが難しかった。琉舞は楽器に合わせるが、能楽は人の声なので違いがある。すごく勉強になった」と話した。
 鑑賞会には地域の人々も集まり、片山さんらの本場の能楽を鑑賞した。抑揚のある展開で「都に無事に着きてそうろう」と重厚感のある、ゆっくりしたせりふから始まるものの、クライマックスでは謡の声が徐々に「ヨーッ、ヨーッ」と重なって大きくなり、足をドンドンと踏み鳴らす場面は迫力があり、児童らは時折顔を見合わせて身を乗り出した。
 解説や質疑応答もあり「舎利は昔からあるのか」「なぜ能楽を始めたの」といった質問に演者が答えた。片山さんは「能には、鬼の気持ちも分かってほしいという演目もある。集中して見てくれてうれしかった」と語った。 (増田健太)