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「沖縄 深く知りたい」 県系4世・モキタさん ルーツ触れ新たな夢


「沖縄 深く知りたい」 県系4世・モキタさん ルーツ触れ新たな夢 これから何度も沖縄に足を運びたいと願うワンター・モキタさん
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 ワンター・モキタさんはヌメア郊外のディック・ウケイエ高校に通う17歳の高校2年生で、県系4世だ。東海岸ポワンディミエに根を張った県系1世で名護出身のキキチ・アラグシュク(新城喜吉さん)の子孫にあたる。キキチ家は2006年の世界のウチナーンチュ大会にニューカレドニアから初めて、家族4人で参加している。
 モキタさんは「私と沖縄との関係は2006年にさかのぼる。この年、私の家族は悲願であった沖縄のルーツを見つけ、私が生まれた。物心ついた時から家族は沖縄の話を繰り返していて、将来この目で沖縄を見て文化や言葉を知りたいというのが私の夢になった」と語る。中学生になると第2外国語に日本語を選択した。沖縄県のウチナージュニアスタディー参加の話があり、うれしかったそうだ。
 昨年8月にモキタさんは初めてニューカレドニアを離れ、沖縄を目指した。沖縄での1週間はとても濃密だったという。博物館で見た船はニューカレドニアの「ピローグ」という船に似ていると思い、ひめゆりの塔や洞窟など沖縄戦に関する場所を見学して戦争の悲惨さを感じた。戦場にならなかったニューカレドニアと戦場になった沖縄の違いを深く考えさせられた。
 アメリカの影響の大きいコザの町を見たり首里城などの観光地を回ったりした。見学だけでなく交流も思い出になった。世界各地から来た同世代のメンバーと友達になり、沖縄ニューカレドニア友好協会のメンバーとの出会いもあった。親戚も会いに来てくれた。「ニューカレドニアの親戚も元気で幸せに暮らしていると、念願だったメッセージも伝えることができた」と振り返る。
 実際に沖縄に来てみると、自分が見て経験したことは日本や沖縄のほんの一部だということが分かり、新しい夢が生まれた。何度も沖縄に行って、もっと深く知ることだ。「将来こんな体験をたくさんして、勉強して本や映画のシナリオを書きたいし、英語の教師にもなりたい」と夢は膨らむ。
 (山田由美子ニューカレドニア通信員)