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障がい児を迅速避難 確保計画、初の実践訓練 発達支援事業所で実施 沖縄・うるま市


障がい児を迅速避難 確保計画、初の実践訓練 発達支援事業所で実施 沖縄・うるま市 防災訓練で避難車両に児童を乗せる事業所職員と、手順を確認するうるま市職員ら=5日、うるま市川田
この記事を書いた人 Avatar photo 嘉陽 拓也

 荒天時、災害が起きる前に障がい者や高齢者などの要配慮者を迅速に避難させる防災訓練が5日、うるま市川田の児童発達支援事業所「こどもトレーニングハウス・にじいろバナナ」と市危機管理課、沖縄気象台などによって実施された。土砂災害防止法に基づいて同施設が策定した避難確保計画を確認する防災訓練で、市によると同計画の訓練は市内で初めて。

 同事業所を運営する株式会社いえの仲宗根久子代表によると、施設周辺は土砂災害警戒区域に指定されており、昨年8月の台風6号では隣接する高齢者施設駐車場で土砂くずれが起きている。そのため、今年1月に市の助言を得て避難確保計画を策定した。

 訓練では、想定シナリオを基に気象庁が公表する大雨・洪水警報の危険度分布「キキクル」などを確認しつつ、職員同士で避難する児童数や確保車両、移動経路、連絡手段を話し合った。児童の特性を踏まえ、靴を履かせず職員が抱えて車両に乗り込むなど、細かい手順で実施した。

 仲宗根代表は「備えも大事だが、子どもたちを守るために落ち着いた避難を実践できることが重要。予期せぬ台風被害も経験しているので、訓練で職員と密に連携できて良かった」と語った。

 訓練後は川田公民館で振り返りを実施。沖縄気象台地域防災推進課の比嘉哲也要配慮者対策係長は、事前に情報収集して差し迫った状況になる前に避難する必要性を強調した。株式会社サンエーは、2013年に市と締結した防災活動協力協定が形骸化しないよう見直す考えを示した。

 市危機管理課の又吉充主幹によると、土砂災害警戒区域にある要配慮者施設は15カ所で、避難確保計画を策定している施設は7カ所にとどまっている。災害時の連携を強化するためにも「計画策定や訓練を支援し、安全に避難できる体制づくりを普及していきたい」と語った。

(嘉陽拓也)