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琉大から初の正規留学生 東明一太さん 仏語上達する環境満喫


琉大から初の正規留学生 東明一太さん 仏語上達する環境満喫 留学先のニューカレドニアでさまざまな経験を重ねる東明一太さん
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 ニューカレドニアの2月は新学期に彩られる。唯一の大学、ニューカレドニア大学では2月5日が新学期の始まりで、その日のテレビのニュースでは3400人の登録者がいると大々的に報じられた。真夏の日差しの下、インタビューに答える新入生の姿も期待にあふれた笑顔だった。

 ニューカレドニア大学は沖縄の大学と交流や提携があり、特に琉球大学とは2000年の沖縄サミット以来、人的交流がある。琉大の研究者が訪れたり、ニューカレドニアの学生が日本語学習のため短期留学を行ったりしている。そんな中で23年6月、初めての学部留学生が1年間の正規のコースに登録した。琉球大学国際地域創造学部国際地域創造学科フランス語コースの東明一太さんだ。

 東明さんは2001年生まれの大学4年生。兵庫県出身の岡山育ちで、家族旅行で訪れた沖縄が気に入り琉大を受験した。中・高でも短期留学を経験している。大学でも留学を希望したがコロナ禍で一度は断念した。そして、その機会は4年生の時に巡ってきた。フランス語教師デルバール氏の強い勧めでニューカレドニアに行くことにした。最初はニューカレドニアがフランス領だということも知らなかったという。初めての留学生ということで責任を感じたが、おかげで緊張感のある日々を過ごしている。

 東明さんが所属するのは外国語学部で、さまざまな授業を自由に受けている。日本語を学んでいる人の話し相手をすることもあり、学生と一緒に試験を受けることもある。そのほか、自分にできることは何でも挑戦している。23年はヌメアの高校の、日本語弁論大会の審査員も体験した。「学生の僕が日本の領事と並んでいた」と笑う。

 大学で日本人は1人だけなので、フランス語を話さざるを得ないという語学上達には最高の環境にいる。「島国のニューカレドニアでなければ、こんな体験はできないな」と、ここに来たことに満足している。

 東明さんは、沖縄県民は自分の意見をしっかりと持ち、ぶれない信念があると感じている。ニューカレドニアは沖縄以上に気候が温暖で多民族で構成される。首都ヌメアはフランスそのものだが、それ以外は別世界で植民地だった歴史を感じるという。

 宗教を扱った卒論に取り組みながら留学生活を満喫しており、帰国後すぐに就職活動を始める予定だ。

 (山田由美子ニューカレドニア通信員)