ダイキン工業(十河政則社長、本社・大阪市)は15日、西表野生生物保護センターで竹富町、西表財団(河合正憲理事長)と連携し、西表島の自然環境を守る活動の後押しを目的とする三者協定を結んだ。
同社は10年間で1億円を支援し、同財団が中心となって島内で分布を広げつつある野生化したヤギ(ノヤギ)の行動追跡モニタリング調査や、同島周辺海域で最後の自生地とみられるウミショウブの保護、回収が困難なマングローブ林内のごみの処分などを行う。
同社は創業90年を記念して2014年から空気をはぐくむ森プロジェクトをスタート。西表島と同じ世界自然遺産の知床や森林伐採による環境悪化が指摘されるインドネシアやアマゾン川流域などで、森林を中心とした環境保全活動を行ってきた。
今回は同社の創業100周年を記念して対象を拡大。森林や海域など豊かな自然や多様性に富む生態系を有する西表島の自然環境保全活動を支援しようと協定を結んだ。
西表島では▽世界自然遺産の亜熱帯の森を守る活動▽日本最大のマングローブの森を健全に維持する活動▽生物多様性を支える海の森(海草藻場)を再生する活動―を3本の柱に事業を展開する。
具体的には衛星利用測位システム(GPS)によるノヤギの群れの行動追跡調査や、漂着ごみが特に多い船浦湾にあるマングローブ林内のごみの回収、ごみ除去後のマングローブ林の遷移、同島周辺海域で唯一、アオウミガメからの食害保護枠が設けられずに残る海草の仲間ウミショウブ群生地の保護などを推し進めていく。
協定締結式で同社CSR・地球環境センター長の藤本悟氏は「西表島の取り組みが、生物多様性保全や人間と生物の共生など弊社のポリシーと合うことから支援を決めた。資金以外にも従業員のボランティア派遣など人的交流も深めていきたい」と事業の成功を期待した。
西表財団の河合理事長は「知床の報告会に参加した。皆さん楽しく、真剣に取り組んでいるところに感銘を受けた。西表島でもしっかりと使命を果たしていきたい」と述べた。
前泊正人竹富町長は「町としても、この活動を通して自然環境の保全や地域の発展に貢献していく」と協定締結を歓迎した。
(八重山毎日新聞提供)