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伝統のニガナあえ会食 大宜味・根路銘区「浜下り」


伝統のニガナあえ会食 大宜味・根路銘区「浜下り」 先輩から習いながらニガナをリズミカルに切る女性ら=4月13日、大宜味村根路銘区公民館
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【大宜味】旧暦3月3日「浜下り」の日にちなみ、大宜味村根路銘区(大城忠教区長)では4月13日、公民館に区民が集まり「インガナズネー」(ニガナあえ)会食の催しがあった。
 根路銘の「ティサガ森」に住む男神「天作」と2人の女神「玉鶴」「天鶴」の伝説が元になっている祭事で、毎年この時期に行われている。
 美女ではあったが心根があまり良くない玉鶴と、心優しく美しい声の天鶴。天作は天鶴にひかれるが、それをねたんだ玉鶴が声のつぶれる薬を入れた「ニガナあえ」を天鶴に食べさせ、それが元で天鶴は亡くなる。そのふびんな天鶴の霊を慰めるため、区の女性らが「インガナズネー」を作るようになったという。
 公民館では朝早くから区の女性らがリズム良く野菜を切り=写真、公民館横では男性らが豚汁を作るなど区民総出で和気あいあいと準備をした。その後「三月庭」(さんがつまー)と呼ばれる場所で祈りをささげ、グラウンドゴルフで交流し会食へと続いた。
 大城区長は「新年度の大切な行事で、コロナ禍を経て数年ぶりの開催。皆が参加できて良かった」と話した。
 濱元朝子さん(76)は「昔から伝承されている大切な行事で以前は各家庭で作り、それぞれの家の自慢のインガナズネーを持ち寄っていた。一堂に会して作ることで若い人にも伝えることができるのでうれしい」と笑顔を見せた。  (安里郁江通信員)