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ルーツ知り 沖縄文化に熱 県系3世の金城さん 三線に励み、ブログ発信も チリ


ルーツ知り 沖縄文化に熱 県系3世の金城さん 三線に励み、ブログ発信も チリ 「故郷」の沖縄に思いをはせる、チリ・サンディアゴ在住の金城アグスティンさん
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 チリ・サンディアゴ在住の県系3世、金城(かなしろ)アグスティンさん(43)。戦前、アルゼンチンに移り住んだ糸満市与座出身の金城源吉さん(享年71)と、戦後移民した妻の勝さん(享年98)の孫に当たる。
 源吉さんと勝さんは戦後、アルゼンチンで洗濯屋を営んでいた。アグスティンさんは、父オラシオさんとヨーロッパ系の母ノラさんの下、アルゼンチンのサンタフェで生まれた。「自分のルーツを知りたい」と日本語に興味を持ち始めたのは高校生の時。「父が通訳してくれたけど、時々分からなかった。沖縄の歴史を日本語で読んだら、もっと詳しくなるかも」。アグスティンさんは日本語教室に通い始めた。2005年には沖縄県費留学生として1年間、琉球大学で日本語と沖縄文化を学んだ。
 沖縄で三線を買って、大学のサークルにも通った。「沖縄に着いた時、祖母の家にいるような気持ちになった。初めての気持ちだった。なつかしい気持ちかな。同じ料理、味、音。強い気持ちが込み上げてきた」と振り返る。留学時に立ち上げたブログは現在も継続し、日本や沖縄の歴史、文化を発信している。
 アルゼンチンに帰国後は、職を探してブエノスアイレスへ。沖縄民謡の三線グループ・琉球サプカイに入った。「三線の曲は沖縄のストーリーを歌っている。沖縄への気持ちを忘れないように集まって、沖縄で習った歌を練習していた。中でも『砂辺の浜』が好き」と思いは強い。
 コンサルティング会社で勤務するアグスティンさんは、2013年からチリの会社へ移った。1年の予定だったが、今年で10年になる。その間にアルゼンチンの日系3世ヴァレリアさんと結婚し、19年には両親と妻と一緒に沖縄に行った。糸満にいる親戚と過ごし、沖縄を満喫した。
 「首里城に行った4カ月後に焼失があって寂しい気持ちになった。時間があれば、もう一度沖縄に行きたい。次は沖縄本島以外の島に行って違う文化、言葉、習慣を体験したい」と故郷へ思いをはせた。
 (安里三奈美通信員)