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平和への思い 書と歌に込め 糸満市 祈念祭で小中高生ら披露


平和への思い 書と歌に込め 糸満市 祈念祭で小中高生ら披露 書道と歌のパフォーマンスで平和への思いを表現した、こはるさん(左から3人目)と煌仙書道教室の小中高校生ら=8日、糸満市の平和祈念資料館平和祈念ホール
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【糸満】糸満市は8日、県平和祈念公園と平和祈念資料館で、第29回糸満市平和祈念祭を開いた。約200人が参加した。参加者は、平和の礎を拭き清めた後、平和祈念資料館で、糸満市平和の語り部研修生による絵本「ひめゆり」の朗読や、市内書道教室と高校生シンガー・ソングライターによる書道と歌のパフォーマンスを通じ、平和への思いを深めた。同研修生による「市平和都市宣言」で締めくくった。
 書道と歌のパフォーマンスでは、糸満市在住の高校生シンガー・ソングライターのこはるさん(17)の歌や、音楽に乗せ、煌仙書道教室の小中高校生らが、平和への思いを込めて書をしたためた。「えがお」と書いた宜保はあるさん(8)は「世界中のみんなが元気で笑顔になれるようにと、願って書いた」と話した。「希望」と書いた新里未來さん(11)は「みんなが希望をもって生きれば、平和になれると思う」と目を輝かせた。
 礎の拭き清めには、遺族会や子どもを連れた家族などが参加。息子の賀数丞之介さん(8)と参加したいつみさん(38)=糸満市=は、糸満市平和の語り部研修生の娘に影響され、初めて平和の礎に来たという。いつみさんは「多くの方々の名前が刻まれている刻銘版を見て、大変な戦争だったんだと、こみ上げてくるものがある」と話した。
 沖縄戦で母の春さんをはじめ6人の家族・親戚を亡くした、糸満兼城遺族会の大城美根子さん(82)は「お母さんの顔を拭きに来たよ」と、刻銘版を見つめ涙ぐんだ。「なぜ沖縄ばかりが今も基地を負担し、苦労しないといけないのか。テレビでは戦争のニュースばかり。なぜ戦争をするのか。戦争は終わった後も苦労する。子や孫に同じ思いはさせたくない」と平和を願った。 (藤村謙吾)