沖縄市の市立郷土博物館は8日、同市の城前公民館で名勝アマミクヌムイに指定された越来グスクの整備基本設計の説明会を開催した。基本設計案も公開し、設計案に基づいた立体模型も展示した。
現存の城前公園広場や拝所は残しつつ、駐車場を整備し、かつての越来グスクからの景色に思いをはせることができる展望台の整備なども予定していることを説明した。来場者からは整備計画に期待の声が上がった。
越来グスクは2019年に国指定の名勝「アマミクヌムイ」に追加指定され、22年に整備基本計画が策定された。市は、琉球国の歴史や文化を示す文化財としての価値を周知するため、整備計画を進めている。
参加者からも好評だったのは駐車場横に整備を予定しているクガニ苑だ。おもろさうしの中で、越来にクガニ木があったとの歌が残されていることから、柑橘の樹木を植えることなどを計画しているという。
越来グスクは沖縄戦で破壊され、当時の姿を確認できる資料が見つかっていない。地元の越来自治会や有志らが、写真などの資料提供を呼びかけている。
整備計画について説明した、同博物館の縄田雅重文化財係長は「資料の発見など状況が変わっていく中で新たな整備も考慮していく。越来グスクの価値を高めるよう、活用の幅も広げたい」と説明した。
(福田修平)