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ひめゆり朗読劇の収益寄付 平和祈念資料館に 東京で2月上演 来年、演劇作品に


ひめゆり朗読劇の収益寄付 平和祈念資料館に 東京で2月上演 来年、演劇作品に 朗読劇「ひめゆりの~2024年版~」の出演者ら(提供)
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 【糸満】ひめゆり学徒隊を題材にした朗読劇「ひめゆりの~2024年版~」が今年2月に東京都内で上演され、演出などを務める俳優の水野哲さんが10日、糸満市のひめゆり平和祈念資料館を訪ね、キャスト、スタッフからの寄付、公演の収益の一部から5万円を同館に寄付した。朗読劇のテーマは、学徒たちが卒業式で歌うはずだった「別れの曲(うた)」が起点になったという。水野さんは「人の命を同じ人間が奪う戦争は絶対にいけないということを伝えたい」と朗読劇に込めた思いを語った。

 県女師・一高女ひめゆり平和祈念財団の我那覇亮司事務局長は「コロナ禍から来館者が7割近く回復している。温かいメッセージや寄付に感謝しかない」と話した。ひめゆり平和祈念資料館の普天間朝佳館長は「体験者の思いを私たちも伝えないといけない」と話した。

ひめゆり平和祈念資料館の普天間朝佳館長(右)と県女師・一高女ひめゆり平和祈念財団の我那覇亮司事務局長(左)に寄付金を手渡す俳優の水野哲さん(中央)=10日、ひめゆり平和祈念資料館

 朗読劇は水野プロダクションと劇団ウォーラス一座、朗読劇の会GO縁が、2月23~25日に東京都中野区の「中野スタジオあくとれ」で上演した。計5回で500人余りが鑑賞した。朗読は、水沢有美さん、浜田晃さんのほか、1968年の映画「あゝひめゆりの塔」にも出演した後藤ルミ子さんや水野さんらが参加した。

 水野さんは、東京で生活する中で「戦争反対」と言えない風潮も感じると危機感を募らせる。「軍国主義という一つの洗脳によって一人一人の命が亡くなってしまったことが一番の悲劇だ。その悲劇を二度と繰り返してはいけないということを、反戦への思いが強まる中で語り継いでいかないといけないと思う」と強調した。

 今後、演劇作品として制作し、来年6月23日に「ひめゆりにて 2025」のタイトルで那覇文化芸術劇場なはーと小劇場での上演を目指している。

 (田中芳)