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共生へ教育と社会結ぼう 宜野湾市でシンポ 学校や地域の実践で討議


共生へ教育と社会結ぼう 宜野湾市でシンポ 学校や地域の実践で討議 地域や学校での共生について意見交換する(左から)イルカの相談支援専門員の玉城和哉さん、東洋大客員研究員の一木玲子さん、南信之介繁多川公民館長=6月24日、宜野湾市のCILイルカ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【宜野湾】宜野湾市のCIL(県自立生活センター)イルカが6月24日、シンポジウム「全ての人に平等な学びと生活を:インクルーシブ教育と社会」を開催した。基調講演で東洋大学人間科学総合研究所客員研究員の一木玲子さんは「共生の教育を受けた子が、社会に出て家にぽつんといることのないように、教育と社会を結びつけなくてはいけない」と指摘。徐々に親離れができるような障がい者支援の実現に向け、学校在籍時から外の人とつながる重要性を語った。
 安全安心のためと、子どもたちが大人から離れる経験が制限され、親支援が多いことを説明した一木さんは、学校での「介助者支援」が時に子ども自身の広がりを阻害することもあると課題を語った。子の阻害、親の抱え込みで世界が狭まってしまうことのないよう「自立とは依存先が多いことで、親にも相談相手が必要」とした。
 地域での共生の実践について、一木さんと、繁多川公民館の南信之介館長、全国初の私立夜間中学やフリースクールなどを運営する珊瑚舎スコーレの松田浩史さん(オンライン参加)、イルカの相談支援専門員をしている玉城和哉さんによる討議も行われた。
 地域で得意分野を生かせる住民を「すぐりむん認定」するなどしている繁多川公民館は、不登校の子も通い、いろいろなサークルの人との交流もしているという。「ただ行っていい場所、学校だけじゃなく過ごせる場所は大事」と南館長は語った。
 松田さんは、今春の真和志高校卒業後、繁多川公民館も訪れていたが現在は珊瑚舎スコーレに通っている重度知的障がいのある仲村伊織さんについて語った。「生徒同士のつながりを増やしたいなと、ヘルパーなどの援助を減らすシフトも含め、一緒にこの場をつくるのはこれから。みんなでユーモアと工夫でつくり上げていきたい」と話した。 (石井恭子)