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交流深め地域力向上 久志でモニターツアー 県内外の人材つなぐ


交流深め地域力向上 久志でモニターツアー 県内外の人材つなぐ モニターツアーで親交を深めた参加者ら=15日、わんさか大浦パーク
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【名護】人口減少などの課題を抱える離島や過疎地域に県内外の人材をマッチングし、地域との持続的な関係づくりを目指す「沖縄しまむすびワーケーション」のモニターツアーが11~15日、名護市の久志地域で実施された。県の事業で2022年度から始まり、本年度は名護市久志地域、久米島、石垣島、伊平屋島、来間島の五つの地域でツアーが企画された。
 久志地域では、久志地域観光交流協会がローカルパートナー(案内役)を務め、地域に根ざしたさまざまなプログラムを用意し、交流サイト(SNS)や事前のオンライン説明会で参加を呼びかけた。ツアーに参加したのは、首都圏や青森、兵庫、愛媛の各県と、沖縄県内の20~55歳の8人。滞在中はハーリー大会やカジマヤー祝いへの参加、集落の散策、ビーチクリーン、シークヮーサー収穫などを体験。地域住民とのバーベキューや宴会、一般家庭での民泊を通して、幅広い世代と交流した。
 最終日には、本ツアーで得た気づきやアイデアをディスカッションする共創ワークショップを実施した。東京都から参加した田中晶穂さん(55)は「過疎化の現状を知り、発展することを考えようとしていたが、文化や伝統行事を残す活動を続けることが大切だと思った。何より地域の皆さんの笑顔がすてき。ここでの暮らしに、人の根源を感じた」と振り返った。
 青森県から参加した鈴木美朝(みのり)さん(29)は「地元では大量の渋柿が採れ、久志地域ではシークヮーサーが採れる。余っているものが、お互いにとっては珍しいものなので、送り合えたら面白い」と話した。ワークショップは、予定していた2時間では足りないほど盛り上がり、参加者らは再会を願いつつ、ツアーが終了した。
 同協会の坪松美紗さんは「参加者の皆さんには、自分の地域に戻ってからも、ここで感じたことを思い出してほしい」と、単に移住者を増やすことは目指していないとの考えを示す。戻った後も久志地域を思い、つながり続けてくれる人を増やすことが、地域力の向上になると考えているからだ。「関わりたい人と、関わってほしいという、地域住民の気持ちのバランスを大切に、互いに自然体でいられるマッチングをしていきたい」と語った。 (荒崎彩子通信員)