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「日本人が出たことないレースに出たい」 自動車レース、ドライバーの上原さん世界を駆ける 沖縄でも育成に力、体験したい人を手助け


「日本人が出たことないレースに出たい」 自動車レース、ドライバーの上原さん世界を駆ける 沖縄でも育成に力、体験したい人を手助け エビススーパー12時間耐久レースを終えたハウスカレーシングの(前列左から)新垣嘉浩、磯部貴裕、(後列左から)、新垣龍史、上原政人=7月、福島県(提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 名波 一樹

 沖縄県内の自動車レーシングチーム「ハウスカレーシング」代表の上原政人が世界を股にかけて奮闘している。モータースポーツを体験したい人を手助けするため、2020年にチームを設立した。普段は人材派遣会社の学生サービスセンターで勤務し、求職者のサポートをしている。国内外を飛び回りながら、レース未経験者の育成にも力を入れている。

 今年7月に福島で開催された、エビス12時間耐久レースにハウスカレーシングとしてメンバー4人で初参戦した。上原以外はレース未経験者で、茨城のチームと合同で12時間連続で走り続けた。本番はマシントラブルに見舞われ「(初参加したメンバーに)初めからレースの嫌な部分を見せてしまった」と反省もある。リタイアも考えたが、どうにか完走できた。来年は優勝を目指して戦う予定だ。

現地チーム・ONZE Racingのクラス3位、総合2位に貢献し、トロフィーを手にする上原政人(右端)=9月、スウェーデン(提供)

 9月にはスウェーデンで行われたレースに、上原単独で現地のチームに加わって出場した。2.4キロのコースで乗り手を変えながら6時間走り続け、周回数を競った。上原は約90周、合計約2時間を走ってチームのクラス3位、総合2位に貢献し「納得のいく走りだった」と振り返った。

 仕事をこなしながら、未経験者のための体験走行会も企画し、国内外で自らもハンドルを握る。多忙な環境下でマシンを降りようと思うこともあったという。しかし、初めてレースに参加したチームのメンバーからは「夢だったと思うくらいすごい経験になった」という声があった。「喜ぶ顔や上達する姿を見ると、彼らをないがしろにしてはいけないと思った」

 参戦した海外レースのドライバーからは「来年も待ってるぞ」と誘われた。「レースを通して世界中の人とつながれることが楽しい」。レースの面白さだけではなく、一緒に走った人たちの声も上原のエンジンを回し続けた。「ここで辞めようと思いつつも、レースを走るたびにまだ続けたいと感じる」

 11日には県内で体験走行会を開き、チームの新たなメンバーも募集している。次の舞台はメキシコでの24時間耐久レースだ。「日本人が誰も出たことのないような、世界中のレースに出たい」と意気込む。

 (名波一樹)